2008年04月03日

チベットに関する中国政府の立場:我々は苛酷な封建農奴制に苦しむ人民を解放した

 目につき難いのだが「人民網日本語版」2008年4月1日に「西蔵の歴史はこう主張する」という中国の自己弁護記事が掲載されている。
内容はー
(1)苛酷な封建農奴制
(2)劣悪な居住環境
(3)「生きた標的」に
(4)街頭の物乞い
(5)平和的解放を経て
(6)チベット語教育
(7)住居建設に補助金
(以上)

 野蛮で後れたチベット人民を解放し、文明化(共産化)してやる為、中国は頼まれもしないのにチベットに侵攻し、同国を併合した。どうだ、見てみろ、併合後こんなに善政を布いてチベット人民のなんと幸福なことか。単純化すれば、これが中国の立場だ。これこそ、かつて帝国主義時代に列強が主張したことでなかったか。朝鮮や中国東北部に侵攻した大日本帝国もそうだった。実際朝鮮や中国では、中国の主張同様、日本が劣悪な生活条件を大いに改善したのは事実だ。勿論、中国はそれだから日本の侵略を是としまい。然らば、自らの駆使するチベットへの論理はどうだ。その同一論理性を気づかぬとすれば、おツムが足りないのだろう。もっと分りやすく言えば、米国ブッシュ流の民主化の為の体制転換や侵略と同じではないのか。

 尤もこれは精一杯お化粧した中国の論理で、もともとは対インド防衛線構築(と資源獲得)が目的だったとは大方の認めるところだ。前に本ブログで取り上げた日本の報道例TV番組中、青山氏が解説していた。

 他国侵略の不当性は当該国の自己決定権を奪うにあると私は考える。信じる正義を他者他国に押し付けることは出来ない。人民解放を騙ってチベットを併合した中国の所行は帝国主義的行動そのものだった。

 笑止千万、中国は自己弁護のつもりが自己の帝国主義を露呈したのに気づかぬのだ。こんなことで納得し、中国のチベット領有が正当だと信じる者は顔を洗い直した方がいい。
 
posted by とちのき at 13:45| Comment(3) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
顔を洗って出直すべきサイトを一つ紹介します。

http://osaka.cool.ne.jp/jiangbo/china/social/social008.htm

残念なのは、こういう論理を受け入れる左派がまだまだ多いことですね。
Posted by TAMO2 at 2008年05月20日 07:56
TAMO2さん

 コメント有り難うございます。

 本ブログで取り上げた日本のテレビ討論会の中でペマ・ギャルボ氏が当時のチベット人の殆どが遊牧民だったのに、どうして農奴制が成立したのか、と反論していたのが面白かったです。

 ご紹介のサイト、いかにもかつての歴史定式化を模した議論ですね。残念ながら、当時のチベット情勢に関する知識が乏しいので学問的反論は出来ないのですが、本当に農奴制があったのかどうか。歴史学界での取扱がどうなっているんでしょう。ペマ・ギャルボ氏の議論が検証されているでしょうか。

 最近の中共は得意の歴史簒奪を始めました。大昔から中国領だと言うのです。それも征服王朝の元時代を持って来るのです。なんとも早です。
Posted by とちのき at 2008年05月21日 12:17
どうも日本人は解放軍のチベットへの進軍を「侵略」と呼ぶことが大好きみたいですね。

それはもともと、51年前にチベットは中国領ではないという認識に基づいたものだと私は認識していますが、そもそもこの認識が間違っていれば、ブログ主が批判していることも成立できなくなるでしょう?

正直、こんなことに反論する気は全然起きません。まあ、一番手取り早い方法として、「大日本帝国」の描いた中華民国時代の中国の地図を見てください。お国のだけでなく、欧米諸国の同時代の地図も調べてほしいです。そこに、中国とチベットは別々の国として表記していますか?元がご存知ならば、清はどうなんでしょう?ウィキを使って清の領土を調べてみたら?

「チベットが中国領になった時、お国の沖縄はまだ独立国で、今世界最強の米国その自体はまだ存在していません」 ということをぜひ認識してほしいものです。

最後の一言ですが、歴史簒奪のお国の得意技なので、中国は強奪するつもりがありません。 
Posted by 中国人 at 2009年02月04日 23:50
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「人民網日本語版」記事「西蔵の歴史はこう主張する」
Excerpt:  えーと。しつこいですが、チベットです。チベット。チベットなので、ブログ「もんどセレクト」様の記事より転載させて頂きました。-- 目につき難いのだが「人民網日本語版」2008年4月1日に「西蔵の歴史は...
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