仙台法務局が2008年に受け付けた人権侵犯事件のうち、「児童虐待」と「学校でのいじめ」が大幅に増加したことが、集計で分かった。法務局は、子どもたちがいつでもSOSを出せるよう、ミニレターなどによる相談制度を整えてきたことが、多くの訴えの吸い上げにつながったとみている。
全体の受理件数は705件で、前年より95件減る一方、児童虐待は前年の15件から46件に大幅増。暴行被害に遭い、相談に訪れた母親が子どもを虐待していたケースもあったという。
「学校でのいじめ」も、24件から52件に増加した。メールやブログの普及に伴い、嫌がらせを書き込む事例が増えたのが原因で、インターネット上で実名を挙げて中傷されるなどの「プライバシーの侵害」も7件あった。
子どもに対する人権侵犯が増えた一因として法務局が挙げるのが、相談態勢の整備。06年度には、虐待やいじめなどで悩む小中学生に気軽に相談してもらおうと、パンフレット形式の「SOSミニレター」を作成した。
思いなどを書いてそのまま投函(とうかん)すれば、仙台法務局に届く仕組みになっており、法務局人権擁護部第二課の萱場久美子課長は「県内の全小中学校にパンフレットを配布するなどし、窓口があることを周知できたことは大きい」と説明している。
法務局は、継続調査中の事件も含め、08年に取り扱った712件のうち、694件を処理した。
内訳は、児童相談所などの専門機関を紹介する「援助」が670件、話し合いを仲介する「調整」が4件、注意を与える「説示」が3件などだった。
|