北朝鮮による長距離ロケット発射を受け、射程距離300キロメートル、弾頭重量500キログラムまでに制限されている韓国軍の弾道ミサイルの性能を向上させるべきだとの主張が出ている。

　韓国はこれまで自らミサイル戦力に制限を設け、北朝鮮のミサイル戦力抑止を促してきたが、今回の事態でそうした努力は失敗に終わったとの指摘が出ており、北朝鮮全土を射程圏内に入れるミサイル戦力の確保に取り組むべきだとの主張が力を得ている。

　ミサイル射程距離延長論は政界で本格的に取り上げられ始めた。国会で7日、外交安保統一分野の代表質問を行った与党・ハンナラ党の金東聖（キム・ドンソン）議員は「現在の韓国のミサイル戦力は、銃を持つ人間にナイフで立ち向かうようなものだ」と述べ、射程距離を300キロメートルまでに制限した韓米間のミサイル協定を改正すべきだと主張した。

　自由先進党の朴宣映（パク・ソンヨン）議員も「韓米ミサイル協定を緩和し、ミサイル主権を求めなければならない」と指摘。適正な射程距離について、ハンナラ党の具相燦（ク・サンチャン）議員は「500キロメートル以上に伸ばすべきだ」と主張し、同党の李春植（イ・チュンシク）議員は「射程距離1000キロメートルのミサイルを開発し、北朝鮮全域を射程圏内に入れるべきだ」と訴えた。

　北朝鮮を刺激することを恐れ、慎重な立場を取ってきた政府の態度にも微妙な変化が表れている。韓昇洙（ハン・スンス）首相は6日、韓米ミサイル協定の改定問題について、「両国の国防閣僚会談で真剣に考える時期が来た」と述べ、改定推進の方針を示唆した。柳明桓（ユ・ミョンファン）外交通商部長官も7日、国会での答弁で、「現在（協定改定に向けた）内部検討が行われている」と語った。韓国政府が2001年に米国主導のミサイル関連技術輸出規制（MTCR）に参加したのは、北朝鮮のミサイル戦力を規制することが目標だったが、そうした目標は崩れたのではないかとの具議員の質問に対し、柳長官は「その通りだ」と答えた。

　軍事専門家もミサイルの射程距離延長を推進する適当な時期が来ていると指摘する。朴庸玉（パク・ヨンオク）元国防部長官は「今回の北朝鮮によるロケット発射を契機として、米国も韓国の弾道ミサイルの射程距離を制限する名分が薄れたと思う」と語った。また、国防研究院の金泰宇（キム・テウ）主任研究員は「中国、日本、ロシアなど周辺国を刺激せずに北朝鮮全域を射程圏内に入れるためには、射程距離は700キロメートル前後が適当だ」と指摘した。

崔慶韻（チェ・ギョンウン）記者