パブリックコメント(意見募集)--行政の政策立案過程で、あらかじめ住民の意見を聞いて聴施策決定に反映させる手続き。略してパブコメ▼相模原市が計画するBRT(幹線快速バス)の導入問題で一躍、有名になった。沿線住民は寝耳に水のパブコメに驚き、怒った。「事業計画の事前説明がないのに、何が意見募集か。順序が逆」▼津久井地域との合併でも、政令指定都市への移行問題でも、市はパブコメを実施。是非を問う住民投票を求められても「パブコメをやったから」と言い逃れてきた▼まるで金科玉条の扱い。市民の関心が低いから、民主的な手続きを繕う格好の逃げ口上になり、独断専行を許す一因ともなりかねない▼BRT問題でその悪弊が噴き出た。立案過程で意見を聞いて何度もフィードバックして計画を練り上げるのが行政の基本。たった一度のパブコメがすべてでは、住民ないがしろの独善だ。【高橋和夫】
毎日新聞 2009年4月1日 地方版