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2005.11.07

加藤千洋のチベット紀行2

 前回からの続き。

ナレーション「2000年に始まった中国の国家プロジェクト、西部大開発。チベットはいま大きく変わろうとしています。」
加藤「えー、いま私はラサ市内から北西80キロくらいの海抜でいうと4000メートルくらいのところにいるんですが、青蔵鉄道がいま走ってます。と言ってもこれは試運転前の試運転のような、試運転は来年の夏と聞いてましたので、非常にゆっくりしておりますが、既に試車が走ってます。青海省ゴルムドとラサを結ぶ1142キロの青蔵鉄道。中国国内で唯一鉄道が無かったチベットを走る始めての列車です。4600億円という巨額の資金を投じた一大プロジェクト。2007年に全面開通すれば北京とラサのおよそ5000キロが一本のレールで結ばれることになります。新しい大動脈の完成で一段と中国化に拍車がかかり、軍事的にも大きな意味を持ちそうです。」

 2000年に始まったチベット中国化の国家プロジェクト、西部大開発。チベットは中国の一大観光地化に向けて、大きく変わろうとしている。青蔵鉄道が走っている。加藤工作員の広報活動を支援するかのように青蔵鉄道の列車からタイミングよく汽笛が鳴る。2007年に全面開通すればチベット侵略完成・中国化まで一本のレールで結ばれることになる。チベットは難攻不落の地上の要塞として中国の軍事上にも大きな意味を確実に持つ。” かつてインドと中国間の平和的な緩衝地帯だったチベットは、今では少なくとも30万の軍隊と、核ミサイル部隊の4分の1以上を擁する軍事的要所になっている。1971年、中国は最初の核兵器をチベット高原に持ち込んだ

ナレーション「ここは標高5190メートルのランツェン峠。空気中の酸素濃度は東京の半分以下です。目の前に現れたのは湖。ナムツォとはチベット語で天の湖と言う意味です。大きさは琵琶湖の3倍。ここもチベット仏教の聖地の一つです。湖畔には経典が書かれた祈りの旗、タルチョが旗めいてます。鉄道の開通によってこの聖なる土地にも多くの観光客が訪れることになりそうです。

チベット仏教の聖地に鉄道を引き、観光地化を進める中国。多くの観光客が訪れ、漢民族の人数が増えていく。チベット人600万人に対してチベットに住む中国人は750万人。チベット人が自らの土地で少数派になり、植民地政策は完成へと近づく。

(ヤクのミルクのくだりは中略)チベット家庭にお邪魔する加藤工作員。
ナレーション「実はこちらのお宅に青蔵鉄道が通ることになり、国に土地を提供したのです。」
加藤「国はお金を払ってくれたのですか?」
主婦「はい、全部で11万元(150万円)です。」
ナレーション「年収の20倍にあたる保証金を受け取った一家。息子さんはそのお金でマイクロバスを購入し、商売の準備を始めたそうです。(仏像の映像)生活は変わりつつあるもののチベット仏教への信仰心が薄れることはありません。」
ナレーション「人々が廻しているのはマニ車。筒の中にはお経が入っており、廻すことでそのお経を読み徳を積んだことになるといいます。チベット仏教の総本山、ジョカン寺。巡礼者がお供えしたバター灯明。バターの燃える独特の匂いが立ち込めます。門前では信者が全身全霊で祈りを捧げる五体投地をしてます。中国化が進み変わり行くチベットの中で昔から変わらない光景です。」

 信仰の自由がない中国。観光名物として儀礼的な行為のみ許可されている。”どこの僧院・尼僧院でも、僧と尼僧の多くは、とても低い地位しかない。彼らの主な役割は観光の見世物になることであり、僧院と尼僧院を管理することであ る。自らが信仰する宗教を、伝統的なレベルに達するほど熱心に勉強し、実践する機会はない。延々と続く「政治教育」会議に出席しなければならないからだ。

チベット自治区副主席「チベット自治区の生活レベルは日進月歩です。西部大開発はチベットにとって歴史的なチャンスなのです。」
加藤「自治区成立40周年を迎えたチベットの経済発展は目覚しいものがあります。しかし、一方でこのポタラ宮が無ければ中国の他の内地と変わらないような趣もあります。チベット初の鉄道が開通すれば、この中国化の変化も加速する可能性があります。チベットは岐路に立っているというのが実感です。」

 チベット自治区の近代化・植民地化のレベルは日進月歩だ。西部大開発はチベットにとって歴史的な悲劇の完成なのだ。ポタラ宮がなければ中国内地と同じなのは、それだけ寺院など文化破壊が徹底して行われたからだ。チベット初の鉄道が開通すれば中国化の変化も加速する。チベットは岐路に立ってない。はじめから彼らに選択肢などないというのが実感だ。

古館「うーん、岐路に立っている。。。でも加藤さん、標高5000メートルを越えているあの天の湖あたりで高山病とか大丈夫でした?」
加藤「慣らしてから行ったんであれだったんですけども、ラサの空港が富士の山頂と同じくらいなんですね。で、車に乗ったらまずね、地元の人が薬をくれたんです。チベットの薬なんですよ。それが高山病に効くって言われて毎日飲んでたんですけども、心理的効果もあるのかもしれませんけども、効きました(笑)」
古館「鉱石をつかうチベット医学と言うのはかなり注目されているんですけども」
加藤「我々、漢方薬を中国のなんとなく神秘性を感じますよね。中国の人がチベット漢方薬にですね、神秘性を感じているくらいですから奥の奥にあるものなんですね」
古館「そうですか。それにしても加藤さん、劇的なスピードで変化を遂げている、ま、資本市場といいますか、自由のほうが入ってきてますねぇ。」
加藤「6年ぶりにいったんですけれども、まぁ6年前も変化を感じましたけれども、その変化にスピードが加速されているという感じでね。さっきの鉄道、これ動いているとは思ってなかったんですけれども、もう動いてるんですね、ちょうど行っている時にレールが敷き終わりましてね。そうすると、これができると、チベットの人口が270万人、1年間の旅客が予測で500万人と、だからチベットの人口の倍近くですよね、だからこれはインパクトがあると思いますよ。もういろんな意味で」
古館「そうすると、加藤さん、余計に今度はですねぇ、別のアングルからつまりはこのインド亡命政府のダラムサラ、最高指導者のダライラマ側から見た今のチベットというのも、また特集で組みたいと、いうふうに思いますねぇ」
加藤「そうですね。ダライラマさんが70歳になりましてね、やっぱり今後どうしようかというのを真剣に考えてますので、水面下ではいろいろ動きが出てますね」

 高山病の心配もないからチベット良いとこ、一度はおいで、と中国政府に成り代わって観光の勧め。 
 中国化植民地化を歓迎しつつもチベットの伝統は一方で守って欲しいと斜め上の問題意識をもつ加藤工作員。チベットの薬をチベットの漢方薬と言い切るその精神には唖然とする。サヨクの朝日にとって中国の侵略はきれいな侵略。チベット侵略に対する問題意識など初めからかけらもない。チベットが中国のものであることは自明として、中国で進展著しい市場経済の波が中国の秘境であるチベットにも訪れているというレポートなのだ。中共の宣伝ではないと言わんばかりにアリバイ主張のように「ダライラマ側からみたチベット」を特集で組みたいという古館。しかし、そんな報道はこれまで一切なかったし、今後もされることはないと予言しよう。仮に行われるとしてもダライラマに対してネガティブな世論誘導が為されるであろう。加藤工作員の、ダライラマもそろそろ抵抗を諦めかけている、と匂わせる締めの発言が報道ステーションの次の偏向報道の方向性を予感させている。

 久しぶりに怒りに震えた。中国もさることながら、中国の広報に乗っかってチベット宣伝をする朝日系マスゴミの卑劣さに。みなさんはどうだろうか?

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コメント

いつも、貴ホームページを拝読するのを楽しみにしています。このたびの加藤工作員のチベットルポは、支那共産党の手先となって中共によるチベット弾圧を正当化しようとするものです。チベットの中共化が、完成の域に達しつつあり、外国のメディアを使ってチベット併合の正当化をアピールする狙いがあるに違いありません。これからも似たような日本メディアによる追従ルポが出てくることを恐れます。トラックバックをありがとうございました。

投稿: 屋根の上のミケ | 2005.11.07 07:16

屋根の上のミケさん、コメント、トラバありがとうございます。ご来店毎度ありがとうございます。
工作員の陰謀許すまじですね。ブロガーはもっとこの件を取り上げるべきだと思います。

投稿: Tatsu | 2005.11.07 12:07

なんというか、判断に苦しみますが、チベット侵略に対する意識がないという批判自体、成立するんですかね。

侵略というのは他人の土地を犯すもの。
チベットは漢民族のものではない。
それはたしか。

だけど、中国のものではある。
だからこそ、中華民族なるものが打ち出されるわけなんでね。

わたしゃ、台湾派なんだけど、それでもチベット民族なる自明性を支えるチベット仏教には、その弾圧性・抑圧性・頑迷性に対して拒否反応を示さざるを得ないのですよ。

チベットに関しては、どっちもどっちですわな。
とても肩入れしたいとはおもいません。

投稿: 春秋子 | 2005.11.07 23:21

チベットに対する、シナの無法な侵攻。
それを正当化しようとする『報ステ』。

許せるものではありません。

投稿: さんちゃご | 2005.11.08 02:08

春秋子さん、コメントありがとうございます。
チベットは漢民族のものではないけど、中国のもの?すいません、意味が分かりません。ダライラマ13世が1913年にチベットの独立を宣言し、中国が1949年に侵略するまで事実上の独立国だったというのが私の認識なのですが。国際法的に立場が不明瞭であったところがチベットの不幸だったわけですが。
春秋子さんのつっこみを理解するにはトラバ先の本を読んでみないといけないのでしょうかね?
宗教には抑圧性・頑迷性があるのは事実でそれが政治と結びついたときは、自由主義という観点からは相当に厳しい環境となりえることは一面事実でしょう。しかし、それをもって軍事侵略は正当化されるものではないと思います。またその地域の伝統破壊は自分的には保守の立場からは容認しかねるものです。

投稿: Tatsu | 2005.11.08 12:00

私は番組を見なかったのです。
が、昔、寺尾五郎、入江徳郎、小田実なんかが北朝鮮をべた褒めしていたのと同じレベルなのでしょう。
当局にいわれるまま取材するあたりなど。
マスコミが外国に対する誤った認識を視聴者に植えつける典型的な一例でしょう。

投稿: aki | 2005.11.09 10:51

春秋子氏の考え方ですと中国の台湾侵攻も時間の問題ですね。さらには東シナ海や沖縄辺りをも侵略してくるでしょう。最近の日本にも【拒否反応】を示し、侵攻してくるのでしょうかね? 参った参った。

投稿: pat | 2005.11.09 12:14

 akiさん、コメントありがとうございます。
 当局にいわれるままの取材というだけでなく、積極的に前向きに「当局」の意向を汲み取って当局と一体となって日本の視聴者を大いに誘導しようとしたと思います(笑)それが加藤氏の工作員クオリティですね(笑)

 patさん、コメントありがとうございます。
 春秋子氏はチベット仏教が政治までおこなうことに「拒否反応」が彼の中で起きるので応援する気になれないということを仰っているのでしょう、きっと。台湾が独立を求めるのは応援する気になれるけど、と。
 で、中国の覇権主義とはまた別の筋の話かと。中国のものであれば侵攻するのは内政問題であって、事の是非はともかく「侵略」というラベリングは適切ではないとおっしゃりたいのでしょう、きっと。
 台湾にしてもチベットにしても、1.それが中国のものだから内政問題である故に不干渉というスタンスを取るか、2.実質上の独立国であるから中国のものではないというスタンスを取るか、3.中国のものであろうとなかろうと人道の見地から許すまじというスタンスを取るか、そこらへんが論点なんだと思います。僕は2の立場です。

投稿: Tatsu | 2005.11.09 18:27

在中国の謎の駐在員(工作員)、SY1698と申します。西蔵関係の記事が取り上げられていたようですが、さすが朝日クウォリティというところですなぁ。文革時代と変わっていない香ばしさ。

というわけで3ヶ月近く前に書いた記事ですがトラックバックさせていただきましたので、ご笑覧ください。

投稿: SY1698 | 2005.11.12 21:04

SY1698さん、コメント、トラバありがとうございます。
記事を拝読しました。引用された記事は時事通信ですか?あそこも前から香ばしいところがありますよね。

投稿: Tatsu | 2005.11.12 23:40

引用記事は時事通信です。何しろ時事通信の香ばしさは前々から定評があり、前には自国の首相に対し「言い放った」などとほたえるに至っては、アンタどこの国のマスゴミやねん?と言いたくなります。

勤務先経由で時事通信のニュース速報を受領している関係とはいえ、ネタ収集以外の役に立たないというのも...

投稿: SY1698 | 2005.11.13 10:45

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