鳩山総務相が日本郵政グループによる「かんぽの宿」売却に「待った」をかけ、白紙に戻したのは2カ月前だ。それは次のような疑問からだった。 「売却先をオリックス不動産としたのは『出来レース』ではないか」 「売却価格が安すぎないか」 もし入札に出来レース、つまり不正行為があったなら、日本郵政の経営陣が法的に問われかねない話だ。総務省はその調査結果を先週末に発表し、日本郵政に業務改善命令を出した。 しかし、そこであげられた16の問題点は、「収益改善に努めたあとで売れば、より高い売却額になった可能性がある」など、どれも改善が望ましい点や手続き上のミスにとどまった。意図的で悪質な「不正」と呼べるような事実は見いだせない。 「安すぎる」に関しては、総務省は独自に不動産鑑定をし、売却対象となった79施設は推計「約250億円」になる、ときのう発表した。 鳩山総務相の疑義はもともと、施設の購入・建設に2400億円かかったものを「109億円」では安すぎる、というものだった。だが、実際には建設時の10分の1に下がっていたと、総務省みずから認めたことになる。 かんぽの宿は毎年40億~50億円の赤字が出ている不採算ビジネスだ。事業を続け正規・非正規従業員3200人の雇用も続けるのが条件なら、買う方の企業は「もっと安くなければ」と考えるだろう。109億円になったとしても不自然とは言い切れまい。 かんぽの宿の本質は、旧郵政省が簡易保険事業の名のもと、採算そっちのけで巨費を投じた「国営ホテル事業」の失敗だ。その売却は「国民の財産の切り売り」というより、むしろ「破綻(はたん)処理」の作業に近い。こうした潜在的な不良債権を抱えた事業を、国民負担が膨らむ前に政府から切り離すのが、郵政民営化の目標の一つだった。 国会論議では、野党も「国民財産のたたき売り」と総務相に歩調を合わせた。たしかに個別に見れば、もっと高く売れた施設があっただろう。透明で、国民や自治体の納得が得られる売却手続きをとることも大切だ。 ただ、売却が先に延びるほど赤字が累積し、国民負担が膨らむことも考えておく必要がある。総務省と日本郵政は今回の反省を踏まえつつ、早期売却へ向けて出直すべきだ。 このように、調査結果も考慮して一連の鳩山総務相の指摘・指示を振り返ると、何が何でも「白紙撤回」を急いだことには、やはり疑問がある。 かつて自民党の強力な集票マシンだった特定郵便局長会に期待して、今も民営化反対の動きが与野党にある。この騒動には、政治のにおいがつきまとう。それが民営化会社の経営をゆがめたとしたら、代償は小さくない。
新聞界の共産党「難癖の朝日」にすら、鳩バカ総務相を擁護してオリックスや日本郵政を「不正」だと決め付けることはできなかったらしい。
当然だ。
知人の不動産関係者に聞いても、「日本郵政とオリックスの姿勢の何がおかしいのか理解できない」という答えばかりが返ってきていた。この問題が生じた当初から「鳩バカ総務相の言いがかりでしかない」「郵政民営化を止めさせたい勢力の策略」「郵政票狙いの所業」と拙ブログでは主張してきた。
そして昨日も「250億円という総務省の鑑定結果は信用できない」とエントリを挙げた。何故なら竹中平蔵氏が閣僚だった頃でさえ鑑定結果は「100億円そこそこ」であったという発言があったからだ。委員会の中で明らかになった鑑定結果であるということだから、議事録も残っているであろう。それが数年経ってもまだ250億円という鑑定結果が出るとは到底思えない。予想だが、本当は109億円より相当低い鑑定額が出たのではないか?それを無理矢理金額を上げたが250億円以上にはできなかったということではないのだろうか?
朝日の社説の中でも述べられているように、250億円だとしても、当初2400億円かかったという物件の資産価値が、現在では10分の1にまで落ちているという事実を当初に明らかにした上で、この問題を見ることができれば、大騒ぎしたり勘違いするブロガーも有権者も少なかったのではないかと思う。まぁ・・情報に対するリテラシーの欠如だから個々人が反省し考え直すべきなのだが、そういった方々は変らないだろうと思う。
余談だが、鳩バカ総務相支持に走ったブロガーの多くは民主党支持者であった。彼らの情報精査能力の低さにはいつも呆れているが、きっと民主党の政策内容に対しても同程度の判断しかできないのであろうと思っている。
本題に戻るが、入札の経緯に不動産業界の慣行があり、それが不透明さを感じさせたし、公共物件の入札の際には透明性を高めるべきであるわけだから、入札の仕切り直しがあっても構わない。
しかし「かんぽの宿」の売却を止める理由などどこにも見当たらなかったにも関わらず、一貫として「白紙撤回」を主張してきた鳩バカ総務相の姿勢には、明らかに政治的意図が見て取れた。その流れのままに、今後も、郵政関連の既得権益復活に向けて郵政族の巻き返しが生じることだろう。
その動きの中で、「かんぽの宿問題」と同様に明らかにおかしいことでも、欲に走る面の皮厚い政治家や官僚が、あたかも事実のように嘘の情報を流してくるでしょう。
しかし有権者は「何が本当なのか」を、個々人が個々人の責任によって確かめなければならないのです。TVメディアはほとんど信用できないし、新聞も偏向情報が多い。ネットに至っては宝もゴミもある状態だ。だからこそ、情報という薬にも毒にもなるものを、個々人が選択していかなければならないのです。いつも当てにできる情報源など、誰も保障してくれないのです。
by 湯煙の中の一杯
政権交代・・これでか・・?④…