米国が6日に空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22ラプターの生産中止を発表した。F22は航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の本命だったが、米国が禁輸措置を取っていた。その措置が解けないまま調達は不可能となる公算が大きく、日本は防空戦略の大幅な見直しを迫られる。極東の軍事力拡大を進めるロシア、中国への対応をにらみ、年末に改定される防衛大綱・中期防衛力整備計画(中期防)の大きな焦点となりそうだ。
防衛省がFX候補に挙げるのは、F22に加えて米英などが共同開発しているF35、欧州の共同開発によるユーロファイター・タイフーンなど6機種。中でもF22の防空能力は群を抜くとされる。このため「1飛行隊(約20機)でもいいから欲しい」(自衛隊幹部)と本命視され、防衛省は先端技術の流出を恐れて輸出を禁じた米国と交渉していた。
だが今回の決定で、禁輸措置が解けないまま米国の発注が終わればF22は自動的に生産中止となり、日本が調達できる可能性はほぼなくなる。対抗馬であるF35は調達時期の見通しが立ちにくいなど、「他の候補は帯に短したすきに長し」(同省幹部)という。
空自は現在の主力戦闘機F4の退役を遅らせ、現中期防で予定された後継機の調達を先送りして選定に備えてきた。近年の原油高騰でロシアは極東配備を増強している。中国の国防費も増え続けている。省内では「中露が日本の安全保障に大きな脅威になってからでは遅い」と選定がさらに遅れることを懸念する声は多い。【松尾良】
毎日新聞 2009年4月8日 東京朝刊