【東京】衆院外務委員会は８日、在沖海兵隊のグアム移転協定について、伊波洋一宜野湾市長や桜井国俊沖縄大学学長ら４人から参考人質疑を行った。伊波氏は、米軍再編後の県内の基地負担の軽減が不十分と指摘。桜井氏は県民意思が協定に反映されていないことを理由に、それぞれ協定に反対した。

　同委は１０日にも質疑を行うが、与党は同日の採決を目指しており、審議継続を求める野党と調整が行われる見通し。

　伊波氏は、クリアゾーン（土地利用禁止区域）を定めた普天間飛行場のマスタープランにそぐわない市内の実態を説明。協定の基礎となる在日米軍再編のロードマップ（行程表）について沖縄の基地負担軽減との関係が明確になっていないとし、「すべてを白紙に戻し（移転経費の）財政支援を凍結すべきだ」と訴えた。

　桜井氏も「協定は普天間の県内移設に反対だという沖縄県民の声を聴かずに進められた」と批判。普天間代替施設のヘリパッド４カ所併設を例に「アセス（環境影響評価）の最大の問題点は事業内容を後出ししていること」と指摘。「どんな事業でどう運用するかを分からずにアセスはできない」と述べた。

　拓殖大大学院の森本敏教授は「米国防予算は厳しいが、グアムの戦略的重要性にかんがみ、米議会に予算計上される」と指摘。平和安全保障研究所の西原正理事長は「米政権交代で普天間移設の再交渉の可能性はない。日本が求めれば信頼関係が壊れる」と述べ、それぞれ賛成を表明した。