海外

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

イタリア地震:人命救助、海外に支援求めず「我々だけで」

イタリア中部、ラクイラの倒壊した建物の脇で、犬(右奥)を使い消息不明の少女を探すイタリア山岳兵と災害救助隊員=2009年4月6日、ラクイラで藤原章生撮影
イタリア中部、ラクイラの倒壊した建物の脇で、犬(右奥)を使い消息不明の少女を探すイタリア山岳兵と災害救助隊員=2009年4月6日、ラクイラで藤原章生撮影

 【ローマ藤原章生】イタリア中部地震の救助作業を指揮するベルルスコーニ首相は7日の記者会見でオバマ米大統領からの支援の申し出を紹介したが、ニュータウン建設などでの協力を求め、人命救助での支援を暗に断った事を明らかにした。首相は生存者捜索で海外に協力を求めておらず「我々は強い国民だから十分足りている」と語る。だが、野党・民主党のフランチェスキーニ代表は「支援は素直に受けるべきだ」と異を唱えている。

 地震など災害やテロ爆破現場では、熟練者によるがれき除去作業が生存者救出のカギを握る。この分野では爆弾テロの頻発国イスラエルの機動力が高い。しかし、在イタリア・イスラエル大使館のラヘル・ファインメッサー報道官は8日、毎日新聞に「がれきでの救助専門家の派遣を再三イタリア政府に申し出たが断られた」と述べた。同報道官は「8日にはネタニヤフ首相がベルルスコーニ首相に電話で改めて協力を申し出て、外相同士も話し合った。だが、イタリア側は『専門家も隊員も十分いる』との返事で、残念ながら派遣は見合わせた」と話す。

 地震直後の6日昼、最も被害の大きいラクイラの市街では犬を連れたイタリア山岳兵と災害救助隊らが即席チームをつくり生存者を捜していた。だが、別の現場から生存者情報が入ると、全員が作業を中断し撤収する場面もあり、がれきの現場に詳しい専門家や人員が足りている状況ではなかった。

 ベルルスコーニ政権は、米国の申し出を「断った」とは明言しないが「外国の救助隊が入ると統率が難しいため、当初から求める考えはなかった」(首相府)という。ベルルスコーニ首相は7日の会見で「外国の連帯に感謝するが、救援隊を送らないよう頼んだ。我々は緊急事態を自分たちで対処できる」と唱え、「我々だけで」と国民を鼓舞するような発言が目立った。

 今回の地震の死者は260人に上った。

毎日新聞 2009年4月8日 21時25分(最終更新 4月9日 1時57分)

検索:

海外 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報