不法入国で国外退去を命じられ13日に帰国する埼玉県蕨市のフィリピン人、カルデロン・アランさん(36)夫妻が8日朝、中学2年の始業式に向かう長女のり子さん(13)を見送った。勉強を続けるため日本に残ることを決めたのり子さんの背中を、夫妻は心配そうに見つめ続けた。
午前8時過ぎ、のり子さんが制服姿で家を出ると、アランさんと妻サラさん(38)はアパートの下まで見送りに出た。2人は「いってらっしゃい」といつも通りの声をかけ、のり子さんは親友の大塚絵夢さん(13)と登校した。
のり子さんは「幼い気持ちを切り替えたい」と髪を切ったばかり。「今朝は『2年生になるんだから頑張って』と言われました。いっぱい不安があるけれど、将来のために頑張りたい」と気丈に話した。アランさんは「もう少し甘えさせてやりたかった。でも、しっかりしてもらわないと」と複雑な親心をのぞかせた。【稲田佳代】
毎日新聞 2009年4月8日 東京夕刊