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当たり前のことですが、 弁護団は「原告の利益」を代弁する立場です。 僕たちは、自分自身のために、 彼らの言い分も慎重に聞き分けなければなりません。 ◆ 薬害肝炎まとめ 目次 ◆ トップページ
(追記) これを読まれている方は、おおむね「国と製薬会社は悪かった」という意見に同意されるのではないでしょうか? すくなくとも、「全く悪くない」と考える方は少ないでしょう。 しかし、だからといって「弁護団が全て正しい」とは限りません。 僕たちがよりよい社会を築くためには、僕たち自身がその点を踏まえて、責任を持ってこの薬害肝炎問題を検討しなければなりません。 僕たちは、とかく簡単な構図を求めてしまいがちです。 水戸黄門が悪代官を裁くように、裁判所が機能することを求めてしまいます。 しかし裁判はそんな一方的に判断できるほど単純なものではなく、まして薬害肝炎問題は医療の限界も関わってくる複雑な問題です。 裁判は、いわばディベートです。自説を通すために、あらゆる手だてを使って審判者(裁判官や、ときに国民)を説得するものです。 有利な事実は誇大に言い、不利な事実は隠し、無理難題でも取りあえずは言ってみる… 勝つためには何でもする。それがディベートのセオリーです。 政府の隠蔽体質がとやかく言われますが、裁判で争う上である意味それは当然のことです。 そしてそれは、原告弁護団にしても同じことなのです。これは非難されるべき事ではなく、むしろ弁護士の本分とも言えます。 それを、冷静に問題を振り返る上で、僕たち市民は理解しておく必要があります。 政府も原告弁護団も、「完全な正義」ではないのです。 弁護団のそんな姿勢が端的にあらわれている例を紹介します。 薬害肝炎の政府責任を追及する上で、「米国FDAは同じ血液製剤の承認を取り消した」という事実が争点の一つとなります。厚生省もその時点で予防策がとれたはずだという主張です。 この問題ではFDAの関係者が原告側証人として裁判に出廷しており、弁護団ホームページではその尋問内容が非常に詳しく紹介されています。 『2.薬害肝炎訴訟の証人はどういう人?』 薬害肝炎訴訟 リレーブログ 『二重の負け犬』 古賀克重法律事務所ブログ版 (元FDAでアメリカにおけるフィブリノゲン製剤の承認取り消しに関与したバーカー博士は)3時間に渡る尋問の最後にはこう証言しました。 ところが、この「FDAの承認取り消し」という論点について、国側から有力な反論が出されています。「FDAの取り消し理由はB型肝炎の危険性だった。しかし、B型肝炎は日本の製剤では対策済みだったから、承認取り消しをしなかった。よって、C型肝炎の薬害予防とは関係ない」というものです。 当然、国側は証人の反対尋問でその点を問いただしたはずです。また僕たち市民としても、その主張に対する弁護団の反論を知りたいものです。 ところが、翌日に行われた国側反対尋問についての弁護団の記事は、わずかに次のような内容が書かれているだけです。 9月1日13時から18時ちかくまで、東京地裁大法廷において、昨日に引き続きバーカー氏の尋問が行われました。 このように、自分に有利な事実のみを記述する姿勢が、弁護団リレーブログの薬害肝炎解説記事、および弁護団公式ホームページ全てにわたってみられます。 重ねて書きますが、僕はこのような弁護団の姿勢を非難するつもりはありません。 裁判をディベートとしてとらえるならば、弁護団のこの姿勢は至極妥当で、むしろ優秀であると言えます。 僕が言いたいのは、これが「裁判」というシステムが本来的に持つ問題で、そのため「裁判による解決」からはたくさんのゆがみが生じてしまった、ということです。 そして、僕たちが市民の立場から薬害肝炎問題を検証するには、その点に細心の注意を払う必要があるということです。 裁判によって解決を図ったため、僕は薬害肝炎の解決に次のようなゆがみが生じてしまったと考えます。 弁護団は「一律救済」に固執しました。政府の肝炎対策を引き出すためだけなら、被害の一部に対して責任を認めさせれば十分だったはずです。しかし、勝敗の構図の中でこの判断が行われませんでした。 政府の非を鳴らすため、弁護団の主張からは「医療の避けられないリスク」という観点がほとんど発信されませんでした。 自分に不利な主張は行わないのですから、当然です。 裁判に当たっては、弁護団が原告を選ぶという逆立した構図が生じました。血友病などの患者は原告に加わらないよう、弁護団が決めました。ウイルス性肝炎患者の方からは「弁護士が薬害を定義するのは横暴だ」という批判も出ています。 『薬害を定義するのは誰か』 出血大サービス赤札日記 これも、確実に訴訟に勝つために行われたことです。 そしてその選ばれた原告に与えられた数千万円規模の補償金は、他のウイルス性肝炎患者と比べて明らかにバランスを欠くものとなってしまいました。投薬証明が叶わなかった方々が医療費補助しか受けられないのとは比較できない額です。 補償額に応じて弁護士の報酬が決まり、また法律論では「証明できたかどうか」がこれほどまでに重要視されてしまうからです。 一律救済を叫びながら、その範囲は常に曖昧にしか発信されませんでした。公式ホームページでは「全ての肝炎患者救済」を掲げながら、和解の最終局面では「投薬証明できた患者に限る」と政府に言いました。 これも、裁判の勝敗の構図においてはやむを得ないことです。 そして何より、これらの経過から国民があらぬ誤解を抱いたことを僕は危惧します。 「医療に間違いがあってはならない」という誤解です。 問題は、「防げた被害を生じさせてしまった」ことでした。 「被害が生じたこと」そのものではありません。 その点が、裁判の構図の中で誤解されたことを、恐れます。 そのような誤解をしないために、僕たちは弁護団の立場を冷静に認識する必要があります。
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タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
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あき様へ
私、アイスゆずは、「薬害肝炎問題」にとても関心があり、何度も<白鳥一声>の管理人様に議論をしかけました。そちらの管理人様は、私の問いかけに答えて下さっただけなのです。また、そちらの管理人様は、以前から今回の和解について問題を指摘しておられ、もっと広く多くの患者が救済される方法を取るべきだったとおっしゃっていました。私の方が、「今回の和解は仕方がなかった」と言っていたのです。<白鳥一声>をよくお読み頂けば、「もっと広く、公平に、多くの方を救済するべきだ」と書かれていることが、お分かり頂けると... ...続きを見る |
誰に投票する? 2008/02/07 04:30 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
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実は、低DICに対しフィブリノーゲン値を保つように血液製剤投与を行うのは今もやられている治療です。 |
立木 志摩夫 2008/01/27 11:27 |
注釈 |
立木 志摩夫 2008/01/27 11:36 |
血液製剤の有効性と使用の現状についてのご指摘ですね? DIC=播種性血管内凝固症候群かと思います。ご指摘ありがとうございます。 |
birds-eye 2008/01/27 13:23 |
この連載記事を書くに当たっての僕の理解は、フィブリノゲン製剤の有効性については「当時は専門家の間でも議論があり、一概にどちらと決めることはできなかったのでは?」というものです。 |
birds-eye 2008/01/27 13:26 |
フィブリノゲン製剤は先天性低フィブリノゲン血症以外に使えないことになっていますが、DICに対して使用する理由はあるということですね。 |
立木 志摩夫 2008/01/29 23:53 |
立木さん、ありがとうございます。 |
birds-eye 2008/01/30 19:58 |
一律救済が決まった時は!悔しくて腹立たしい気持ちで一杯になりましたよ!散々活動したのも弁護団には今までの協力ありがとうございましたと言われ!弁護団は提訴出来ない人間を最初から良いように利用したのと?思わせるぐらいに提訴出来ない人間に対しては冷たかった五年間だったから!だったらなぜ?最初から提訴出来ない人達の保証はしてやれないし原告になれたほんの一握りの千人の為だけど協力してと訴える事をしなかったのよ!今回の事で一円の保証もされないのに保証されるんでしょう良かったねと言われる気持ちがわかりますか? |
あき 2008/02/07 00:33 |
あき様へ |
あき様へ アイスゆず 2008/02/07 04:40 |
あき様へ |
あき様へ アイスゆず 2008/02/07 04:54 |
あきさん、ご意見ありがとうございます。投薬証明ができなかった方、第8製剤で感染された方、予防注射の使い回しで感染された方、先天性疾患を理由に除外された方、これらの方々が今回の決着でいちばん無念だっただろうと思います。ご心中、いかほどだろうと思います。 |
birds-eye 2008/02/07 23:48 |
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