米国やヨーロッパなど、海外のiTunes Storeが価格体系を一新。さらに、すべての曲をDRMフリーで販売するようになった。新価格は、米国の場合1曲0.69ドル、0.99ドル、1.29 ドルの3種類。DRMのかかっていない256kbpsのAAC、いわゆる「iTunes Plus」で販売されている。残念ながら、日本のiTunes Storeでは、原稿執筆時点で実施されていない。というわけで、何カ国でこの“100% iTunes Plus”が実施されているのか数えてみた。

 数え方は、各国のiTunes Storeを開いて、トップ画面に100% iTunes Plusバナーがあるかどうかを確かめる、という地道なもの。数え始めてから気づいたのだが、現在iTunes Storeはなんと77カ国(または地域)で展開されている。確か2、30だったはず、と甘く見ていたら、意外に大変な作業だった。全iTunes Storeの画面を見たことがある人は、なかなかいないだろう。

 さて、そのうち100% iTunes Plusが実施されているのは21カ国。北米とヨーロッパ、オセアニアの国々だ。残念ながら、日本ではまだ実施されていない。そもそも、いまだに参加を渋っているレーベルもあるくらいだから、仕方ないか。

100% iTunes Plusを実施しているのは、全77カ国中、21カ国であった。残念ながら、日本も実施していない……(画像クリックで拡大)

 音楽配信なんて成功しない、と誰もが思っていた2003年にスタートしたiTunes Store。2005年夏に日本に上陸し、現在は77カ国にまで広がった。2008年には米国では最大の音楽小売業者となり、ついに音楽配信のDRMも撤廃。アップルはゆっくりと、着実に音楽ビジネスを変えている。

 スティーブジョブズ以下、アップルの人々は、ことあるごとに「我々は心から音楽を愛している」と強調する。だからこそ、ここまで変革を起こすことができたのだろう。果たしてアップルは、どんな音楽の未来を見ているのだろうか。

(文/出雲井 亨)