愛知県刈谷市の大手自動車部品メーカー、デンソーから製品図面データが持ち出された事件で、横領容疑で愛知県警に逮捕された同社社員・楊魯川容疑者(41)が、持ち出しが発覚した直後、私有PCで使われていたハードディスク(HDD)を破壊し、証拠隠滅を図っていたことがわかった。

持ち出しが発覚したのは今年1月、デンソー社内に設置されていた量産図面参照システムでエラーが多発したため、原因を調べていたところ、楊容疑者が昨年10月から12月までの間、産業用ロボットなどの電子設計図約13万件のデータをダウンロードしていたことが判明。

この事態を受けて会社側は2月、楊容疑者に対し支給されていた公有PCと私有PCの提出を求めたが、楊容疑者は私有PCのHDDを物理的に破壊して証拠を隠滅。会社側はデータの読み込みが不可能になったため、外部へのデータ流出記録などが確認できなくなった。

その後、楊容疑者は会社側の事情聴取を拒否して中国へ出国。今月4日に来日して自宅に戻ったが、再び出国しようとしていたため、機密データをダウンロードした社有ノートPCを自宅に持ち帰った疑いで同警が逮捕した。

データは産業用ロボットや各種のセンサー、ディーゼル燃料の噴射装置など約1700製品に関するもので、うち約280製品は同社の最高機密にあたるものだったという。

楊容疑者は1990年の来日前、ミサイルやロケットの製造開発にかかわる中国国営の旧「中国航天工業総公司」に勤務。現在は在日中国人の自動車技術者が集まる「在日華人汽車工程師協会」の副会長も務めているという。
【参考】
デンソー横領中国人容疑者、私用パソコンを破壊(NIKKEI NET)
会社のPCで図面横領、デンソーの中国人技術者を逮捕(YOMIURI ONLINE)
デンソーのデータ持ち出し 楊容疑者、発覚直後にHD破壊(中日新聞)
設計データ大量ダウンロード デンソー中国籍技術者逮捕 - 社会(asahi.com)