政府は、沖縄県石垣市の大浜長照市長が同市の行政区域である尖閣諸島(中国名・釣魚島)への上陸許可を外務省に求めた問題で、対応に苦慮している。上陸を許可すれば、北朝鮮によるミサイル発射を受けた国連安全保障理事会での協議や、29、30日の麻生太郎首相の訪中に影響するのが必至なためだ。
尖閣諸島は日本が実効支配しているが、中国も領有権を主張している。政府は最大の魚釣島など3島の私有地を借り上げ、上陸を原則認めていない。石垣市は口頭で地方税法に基づく固定資産調査を求めてきたが、国の門前払いが続き、今回文書で調査を求めた。
政府の苦慮の背景には、2月の日中外相会談で領有権を巡り険悪になったことや、首相が衆院予算委員会で「固有の領土である以上、日米安全保障条約の対象だ」と明言したことなどで、3月末に予定されていた自身の訪中が取りやめになった経緯がある。中国はミサイル問題で安保理決議採択に慎重姿勢を示しており、「尖閣で今、中国側を刺激するのは得策ではない」との判断もある。【坂口裕彦】
毎日新聞 2009年4月8日 22時38分(最終更新 4月8日 22時41分)