県は今年度から新たな子育て支援制度「新マイパパ休暇」をスタートさせた。休暇取得の大きな障害となっている「家計への影響」と「職場の雰囲気」という課題に対応するため、経済的な支援に加え、子供が生まれてくる男性職員に「育児参加計画書」を提出してもらい、休暇中の業務分担をしやすくする。
08年度に子供が生まれた男性職員は133人いたが、育児休業の取得は1人にとどまるなど仕事と育児の両立が
不十分なため、新制度で育児休業を後押しする。【比嘉洋】
新制度は、夫の支援が重要な期間として、妻が産後休暇を取得している産後8週間以内に育児休業を取得することを奨励。男性職員に、妻の出産予定日の3カ月前までに育児参加計画書を上司に提出させることを義務付ける。また、新たに県職員互助会から育児休業補給金として1日2000円を支給する。
県の現行制度では妻の出産に合わせ、男性は「配偶者出産補助休暇(2日)」と「育児参加休暇(5日)」の計7日間の有給特別休暇を取得することが可能になっている。育児休業中は無給で、地方職員共済組合から育児休業手当金(給与日額の37・5%)が支給されてきた。
県は05年3月、次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画を定めて、育児休業中の職員に業務関係の情報を提供するなど職場環境の改善を進めてきた。だが、育児休業や、育児のため1日2時間以内の勤務時間短縮を認める部分休業を取得した男性職員数(教育庁と県警を除く)は、06年度が84人中1人、07年度が75人中1人にとどまった。一方、女性職員の取得者数は、06年度が64人中59人、07年度が83人全員となり、男女差が顕著になっている。
県職員で08年度にただ1人、育児休業を取得した男性(43)は「取得して非常に良かった。妻の苦労もよく分かったし、保育所や産後ヘルパーの不足など福祉分野の諸制度の使い勝手の悪さを身をもって知ることができた」と振り返る。
男性は妻(41)が三女を出産した08年4月8日から7日間の特別休暇を取得した後、同17日から5月8日に無給の育児休業を取った。班長(主幹)に昇格したばかりで、上司は育児休業の申請に驚きながら「(男性の)キャリアが心配だ」と話したという。男性自身も同僚の負担にならないかと「かなり悩んだ」が、出産したばかりの妻が、長女(9)と次女(6)の面倒を見るのは不可能と考え、育児休業取得を決意した。
休業中は、家事や娘を学校に送迎することなどに専念。職場復帰後は「心配していたほど仕事に支障はなかったみたいで安心した」という。
男性は「新マイパパ休暇」について、「今よりも少しでも改善されるのは良いこと。職場内の業務分担がうまくいくかどうかがポイントになるだろう」と語った。
毎日新聞 2009年4月8日 地方版