1/100 MS-06K ザクキャノン ラビットタイプ 製作編

毎度、鉄人です(笑)。本機で行きますよー(爆)!

恒例となった、このコーナー! 発売中のモデルグラフィックス5月号に掲載の、ザクキャノンの製作過程を細かく解説しちゃいます。本誌と合わせて読めば楽しさ1000倍(当社比)! 本誌上で解説した部分はなるべくはしょっていくので、そのつもりでお願いします。公開は一ヶ月限定なので、参考にしたい人は各自保存するように!!

さて←この設定画は、1/144ザクキャノンの説明書にあった画縞をスキャンしたもの。頭部は私が加筆修正しました。

色については、現在公式となっている濃い緑色がどうも気に入らないので、設定画から私が読み解いた色を試し塗り。でも実際に仕上がった物は、この絵より白っぽい感じになっちゃいましたね。今回PCのモニターを見ながら調色したんですが、これがやりにくいったらない(汗)。一度画像を紙に出力してからやるべきでした。色の三原色と光の三原色は別モノであることを改めて実感…。

塗り分けパターンについては色々解釈できるのですが(この絵も足底がグレーになってるし)、最終的には割合オーソドックスな物にまとまりました。上腕や手首は茶色でもよかったかな…?


まずは素組み状態との比較から。右側は…いやもうなんだかなー(阿藤)。私はこのキットを組むのは初めてだったんですが、目の前でコレが出来上がったときは正直頭を抱えました(汗)。で、あれこれいじった結果が左側です。けっこうよくなったでしょ? 部品の形状もそうですが、立ち方がよくなったことがカッコよさに大きく影響しているのが分かるでしょうか?
改修ポイントは大雑把に言えば、まず上半身のボリュームダウン。この頃のキットは総じて上半身が大きいのです。そして太ももを太く、スネを細くして足のバランスをとる。あとは省略されている部分をちまちまいじって情報量を上げてやると、よくなると思います。
側面図。肩アーマーはキットベースで修正するとスクラッチになりそうだったので、お手軽に06Rから流用しました。ちょうど手元にあったので…(中学生当時、作りかけで放棄したヤツ)。足首はツマ先の形状をもう少しいじろうかと思ったんですが、大工事になるのでそのままにしました。適当なところで見切りを付けるのも、完成への近道です。
背面図。キャノン砲がオフセットされているのは、このキットの設計上のアレンジです。設定画通りだと砲が頭にぶつかってしまうからなんですが、マスターグレードではちゃんと設定画通りになっていますね。どうやってつじつま合わせたんだろ?(←MG組んでない人)。

ではまず頭部から。頭部は合わせ目で幅詰めをしますが、まず頭頂部に向かって2mmのクサビ型に詰めます。その後今度は後頭部側を2mmクサビ型に幅詰め。これでかなり設定画に近い雰囲気になりますね。この作業で頭頂部のカメラがなくなってしまうので、レジンブロックで大きめに作り直します(a)。その最中にキットの頭部が左右非対称なことに気付いたので、エポパテを盛りつけて整形(b)。モノアイ周辺はプラ板の小片を貼って、ちまちま修正していきます(c)。鼻先は下を向けるため、皮一枚残す感じでノコギリを入れ、レジン片をはさんでいます(d)。モノアイシールドは頭部に入るように幅詰めをしたあと、正面に1.2mmプラ板を貼り付けて自然な曲線を削り出しています(e)。首にはボールジョイントを仕込み、12.7mmプラパイプを被せて太くしますが、そのままでは入らないので切れ目を入れて輪を広げています(f)。

ところでジオン系MSの旧キットを作るとき、モノアイの表現には悩みますよね。1/144なら黒地にピンクの◯でもいいんですが、1/100ともなるとちょっちツライ…。かといってMG並みに作り込んでしまうと、そこだけ情報量が上がってしまって全体のバランスが取れません。そこで今回はひとつの方法として、H-アイズを薄く削った物を使ってみました(g)。裏を銀で塗ってあるのでキラキラ光りますし、両面テープで固定すれば視線を動かすことも可能なのがメリットです。あ、銀で塗ったあと、さらに黒を重ね塗りするのを忘れないように! でないとモノアイシールドに銀の粒子が付いちゃいますよ。デメリットとしては、横から見ると出目金になってしまうことでしょうか(笑)。いずれにせよこのモノアイの表現には、未だ研究の余地がありそうです。今月号に載っていた、Keinさんの06Rのような処理もひとつの方法ですね。


胴体です。肩は左右で2mmづつ切り詰め(h)。胸のダクトはくり抜いて、内壁をプラ板で作っておきます。ダクトは1.2mmプラ板で作りました(i)。動力パイプの取り付け部は角度を下向きに修正し、プラ板でひと回り大きくしています(j)。フンドシ部分のスキ間は大きすぎるので、プラ板で埋めて狭くしましょう(k)。股関節はキットの部品を接着固定してから、プラパイプを被せて製作(l)。ツマ先をハの字に開いたときに大腿部がフンドシにぶつかるので、目立たない部分を削って干渉を減らしています(m)。キットはおしりがだらしないので、スパッと切り上げて締まったヒップにシェイプ!(n)
胴体内部です。肩関節はこんな風にキットの部品を利用して、WAVEのジョイントを取り付けています。そのままでは構造が弱いので、ランナーや三角プラ棒を接着して補強しました(o)。腹部にはレジンブロックを使って、フンドシ取り付け用の5mmポリキャップを固定します(p)。

大腿部です。股関節には肩と同じくWAVEのプラサポを使用し、キットの部品構成を利用して取り付けています。このボールジョイントは便利なんですが、ボールと受け皿を一旦ハメ込んでしまうと外すのが困難なので、注意が必要です(q)。膝部分は一旦切り取っておき、内部にレジンブロックを接着して補強します。中心に5mm穴を開けて大腿部に取り付けましょう(r)。大腿部内部にはレジンブロックを接着しておき、あとで動力パイプを取り付ける土台にします(s)。

スネです。幅詰めしたスネに合わせて、噴射口の部品も左右を少し削ります。強度が落ちるので折らないように気を付けて…(t)。動力パイプ用の穴には、このあと大腿部と同様にレジンブロックを貼っておきました(u)。スソの部分は外に広がるように、点線のラインでペンチで曲げています(v)(下の画像も参照)。足首関節は肩と同様に、ビニールを噛ませて取り付けています(w)。


足首です。上の画像は右足の裏側の図で、合わせ目を中心に図のように幅詰めしました。この作業は足の甲を切り取ってから行うこと! 切り取った足の甲は接着面で上端1.5mmのクサビ型に詰めました。下の画像は足首の内部構造で、ジョイントの取り付けかたがよく分かると思います。ツマ先に使用したポリキャップはWAVEの物ではなく、ガンプラ用の4mmポリキャップです(x)。このあと足甲の部分が強度不足で気になったので、ランナーでつっかい棒を入れて補強しています(y)。足底にも接着後に補強を入れました。

右の画像は動力パイプの取り付け方。大腿部側はプラパイプで受けを作り、下側は穴を開けてスプリングを差し込んだだけです。実はこの動力パイプは腹部をふくめて、スプリングの中に形を固定するような芯は何も入っていません(!)。スプリングのテンションだけでこの形を保っています。ザクキャノンは動力パイプの形に特長があるんですが、自然とこうなったことにビックリ! 大河原御大はこうなることを予測してデザインしていた……?(ま、まさか…)。足裏は平面になるようにエポパテを盛っています(z)。


上腕です。肩のジャバラにはプラサポを取り付けますが、中には1.5mm真鍮線を入れて補強しています(A)。付け根付近はジャバラだとおかしく思えたので、エポパテでメカっぽく整形(B)。(C)はプラサポっぽく見えますが、実はただのジャンクパーツ。4mmプラ棒を補強するのにちょうどよかったので、たまたま使っただけです(笑)。

前腕です。肘のプラサポは上腕との位置関係を調整するため、穴を開けた1.2mmプラ板を取り付けています。ちなみにここの関節にはビニールは挟みませんでした。けっこう見える部分なので、ビニールの端が出ているとみっともないので…(D)。

前腕は左右を接着したあと切れ込みを入れて、寄せるように接着し形を絞ります(E)。このあと反対側も削りました(F)。

手首はハイディテールマニュピレーターのゲルググVer.1.0用を使用。出来れば自作したかったんですが、時間がなかったのでたまたま持っていたコレを使いました。指が細くて女性のようなので、一部にパテ盛りをして少しでも力強い雰囲気に。出来れば旧キット用のゴツイ手首を発売してほしいなァ…。

肩です。シールドは点線のラインで内側から切れ込みを入れ、外側に曲げて角度を緩やかにします(G)。裏にはまず0.3mmプラ板を貼り、厚みを増すと同時に表面を平滑にしてから、トラス状に切り抜いた0.5mmプラ板を貼り付けました。他の部位に合わせてモールドはやや押さえ気味です(H)。左肩のスパイクアーマーの取り付けは、キットと同じ方法で(I)。そのスパイクアーマーは06Rの物を使い、ふちを削ってからエポパテで整形(J)。旧1/100ザクの物でもいいと思います。中央のトゲは断面が楕円なので、一旦切り取ってから間に0.5mmプラ板をはさんで真円に整形し、改めて接着しています(K)。

バックパック(ランドセルと言った方が古めかしくていいかな?)のビッグガン取り付け部には、こんな感じでポリパーツを仕込んでいます。流用したのはMG用のあまりポリキャップ。ビッグガン側の差し込み口をちょこっと削るだけで、ピッタリはまりました♪
ランドセル外観。省略されていたモールドを追加した程度で、ほぼそのままです。対空砲は上部の出っぱりをレジンブロックで追加(L)。オフセットされたのは仕方ないとして、何でこの出っぱりも省略されちゃったんでしょうね(謎)? 謎と言えば砲の側面につく防弾板(放熱板?)も謎ですね(M)。どの設定画を見てもこんな部品は存在しないんですが、キットにはなぜか付属しています(だからMGには付いていない)。他にもコクピット部分の段落ちも、なぜか追加されているモールドです(わざわざ設定画に加筆してるし)。MSVの謎は尽きませんな〜。
武器類です。ビッグガンは可動部にポリキャップを仕込んだ程度。アーム付け根にはレジンブロックとプラ棒で可動部をもうけ、ポージングをしやすくしています(N)。マシンガンはノーマルな物でも良かったんですが、どうもザクキャノンには似合わない気がして、どうしようかとあれこれ調べるうちに、ゲームのCG画面で旧ザク用マシンガンを持ったザクキャノンを発見。こりゃカッコいいや!ということで流用してみました。おかげで秘蔵のリアルタイプ旧ザクが…(泣)。グリップを大型化するなど、若干の手直しをしています。

塗装データーです。なお、特に記述のない物はすべてガンダムカラーの番号です。

 本体茶色/Mr.カラーダークイエロー+グリーン(少量)+ブラウン(微量)
 本体カーキ/本体茶色+ホワイト+グリーン(少量)
 胸部ダクト等/イエロ−10
 動力パイプ/Mr.カラー焼鉄色
 武器類/Mr.カラーニュートラルグレー
 ランドセル弾倉等/グレー14
 額センサー/白地にタミヤエナメルクリアーブルー+クリアー
 紫ライン/パープル1+ガイアカラーホワイト+Mr.カラーグリーン(微量)

紫色は色の中の赤っぽさを押さえるために、補色である緑を加えています。ガイアカラーの白を使ったのは、少しでも隠蔽力を上げるため。で、クリアーデカールを3mm幅に切り出してこの紫を吹き付け、本体に貼り込んでいきます。その上から白のラインデカールを貼って識別帯の完成♪

スパイクアーマーのグルグルは、当初トゲだけ切り離しておきリューターに取り付けて回しながら塗る方法を考えていたんですが(レシプロ機のスピナーを塗る技法)、つい面倒になり「筆でも塗れるんじゃね?」とタカをくくって筆塗りで挑みました。紫をエアブラシし白を筆塗りしたんですが(逆の方がよかった…)、多少筆ムラはあるもののつや消しクリアーを吹いたらあまり気にならなくなりました。やったね♪

スミ入れとウオッシングは油絵の具をペトロールで溶いたものでおこない、汚しはタミヤのウェザリングマスターガンダムマーカーで。デカールはキット付属のものや、MGザクキャノン用から色々流用。さらに胸や腕のマーキングは自作です。


というワケで完成です。色については今回は非常に苦労し、出来上がった物を見ても「もう少し緑っぽくてもよかったかな…?」とちょっち反省してるんですが、まァカッコ良く出来たのでよしとしましょう(笑)! これを機にみなさんも旧キットを作ってくれるとうれしいですね。楽しいよ♪