マイバッグの死角 万引対策に苦慮
「マイバッグに商品を入れるのが当たり前になり、万引との区別が付きにくくなった」 東北6県の412店舗に保安員を派遣する警備会社「東洋セキュリティ」(仙台市)の担当者は打ち明ける。 多額の万引は、レジを通らず、商品を袋詰めする「サッカー台」に直行してマイバッグに入れたり、商品が入ったかごごと店外に出る「かご抜け」をしたりするのが主な手口だ。レジ袋が消えたことで、一見して不自然とは映らなくなった。 同社は「死角となる柱の陰で、かごからマイバッグに商品を入れ替えているのを現認したことがある」とも言う。 太白区のスーパーでは2月、カートに商品(約9500円相当)を載せたまま店外に出たところを見つかり、警備員を押し倒してけがをさせた仙台市内の無職女性(52)=罰金刑確定=が事後強盗の疑いで現行犯逮捕された。仙台南署によると、女性は調べに対して同じ手口で数回、万引したことを認めた上で「レジ袋を断ったことにすれば、簡単にカートごと店外に出られることを利用した」と供述したという。 レジ袋有料化は2007年6月、仙台市内で本格化し、宮城県内では現在、10市町村の約100店舗で実施する。いち早く有料化したみやぎ生協(仙台市)によると、今では客の8割超がマイバッグなどを持参するという。 店側はマイバッグ利用拡大の流れを止めずに、精算済みかどうかを判別する対策に懸命だ。 「ヨークベニマル」(郡山市)は、レジを通した商品を色の違うかごに移し替える方式を採用。「フレスコキクチ」(相馬市)は、レジからサッカー台まで運ぶかごの取っ手を外した。 私服保安員歴22年の女性(56)は「確固たる証拠がなければ、客に声を掛けられない。死角をなくすなど、万引をやりにくいと思わせる店舗づくりも重要だ」と指摘している。
2009年04月08日水曜日
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