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ここから本文エリア 太田市政の課題―救急医療2009年04月08日 12日投開票される太田市長選は熱を帯びてきた。大きな争点の一つは救急医療。同市では医師不足などが原因で、救急患者の受け入れ先が見つからず12回もたらい回しになるケースが起きている。救急医療態勢の整備は急務だ。(戸梶雄一) 市消防本部警防課の久保田真二・消防司令長は、患者を救急搬送する際の隊員の苦悩をこう語る。「病院に受け入れてもらえるかどうか不安な中で連絡を取る。西に向かうのか東に行くのか分からないまま、現場からずっと出発できないこともある」 同課によると、08年の救急出動は8364件で7775人を搬送した。入院・手術が必要な患者を受け入れる二次救急病院は市内に六病院。ただ、担当医がいなかったり、いても別の患者の処置で手が離せなかったり、満床だったりして「たらい回し」に 同年、3回以上病院に受け入れを断られたのは422人で全体の5・4%に上る。うち10回3人、11回3人、最多の12回は5人もいた。現場に救急車を止めて1時間以上、受け入れてもらえるか問い合わせ続けたケースもあったという。また全体の2割強の1637人を、栃木県など県外を含む管轄(太田市、大泉町)外の病院に搬送した。 病院が救急患者を受け入れられない背景には医師不足がある。特に同市では勤務医不足は深刻だ。 県医務課によると、県内に10ある二次保健医療圏のうち、太田・館林(太田市、館林市、邑楽郡5町)の医師数は人口10万人当たり136・1人(06年末現在)で最低。最高の前橋の410・2人の約3分の1に過ぎず、県平均の208・6人と比べてもかなり低い。 また、県内で08年に重傷者のうち101人は救急救命センターに運ばれたが、県内で同センターに指定されているのは前橋赤十字病院と国立病院機構高崎病院の2カ所だけ。太田市からの搬送には40分以上かかってしまう。 久保田司令長は「早めの治療が劇的効果をもたらす病気もある。市内に救急救命センターがあれば、『助けられる命』が出てくる」と語る。 救急救命センターを巡って、県は3月の議会委で下城茂雄・健康福祉部長が「中毛、西毛地区と人口(規模を)比較しても見劣りない東毛地区については、必要性を強く認識している」と答弁、同地区を念頭に設置を検討する考えを示している。
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