富山商監督に就任して14年半。この間、夏6回、春は今回を含め2回、チームを甲子園に導いた。「今年のチームが最弱」と断言するが、その分、「これまでのような勝たなければならない、という気負いは一切ない」とさばさばしている。
県内屈指の強豪校。就任当初、「負けたら大変だ」と、眠れない日もあるほどプレッシャーを感じたことも。ライバル・高岡商に敗れ、OBから激しく非難されたこともある。
しかし、約10年前からは、「甲子園で力を出せたらそれでいい。そのために練習をしっかりしておく」という気持ちに変化した。その結果、02年から、夏の富山大会を3連覇して自信を深めた。
新チームになってからは、教え子でもある前崎部長に半分はさい配を任せている。「これまでより視野が広がった」と力みはなく、現チームについても、「チームワーク、役割分担がしっかりできている」とみている。
初戦まであとわずか。「これまでで一番気楽。あとは選手の能力を100%引き出せるよう調整し、試合では必死に戦う」と胸に闘志を秘める。
14年前、同校がセンバツ出場した時の主将でエース。当時から、教師として野球を指導したいと考え、中央大卒業後、商業科の教師として母校に戻ってきた。コーチや顧問を経て、03年から部長を務めている。
自身が出場したセンバツでは肩を痛めていたが、沢田監督が「100点の出来」というほどの投球を見せた。相手打線をわずか3安打に抑えたが、0-1で今治西(愛媛)に惜敗した。思い出は、と尋ねると。「無我夢中で何も覚えていないが、阪神大震災直後で、入場行進がなかったのが印象的だった」と振り返る。
野球のモットーは、「我慢強いこと、粘り強いこと」。普段の生活から自分をコントロールできるよう指導している。「生徒たちと接するのが好き」と言い、「人格形成や人間関係づくりなど、野球で得たたくさんのことを伝えたい」と話す熱心さには定評がある。
14年ぶりの甲子園の舞台も、もうすぐだ。「選手の力が十分発揮できるよう環境づくりをして、出場したことをプラスにできるようベストを尽くしたい」と意気込んでいる。=おわり
毎日新聞 2009年3月20日 地方版