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【宮家邦彦のWorld Watch】イラクをめぐる7つの神話 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:イラン
(6)来年米軍は全面撤退する
米軍の完全撤退は当面ないだろう。オバマもすべての「戦闘部隊」の撤退としか言わない。現代の対テロ戦はリアルタイムで最新鋭の情報・通信技術を駆使する総力戦だからだ。
イラク精鋭部隊といえども、無人偵察機の操縦から戦術訓練、GPSを含む通信支援、情報分析にいたるまで、米軍「非戦闘部隊」の支援なしに効果的な掃討作戦はできないはずである。
(7)治安が悪いのでビジネスチャンスはない
それも違う。確かに、街中では常にヘルメットと防弾チョッキを付け防弾車で移動する。治安状況は最悪だった2年前より大幅に改善したものの、「完全に安全」とは程遠い。
それでも、今回宿泊したホテルには世界中から勇気ある政治家・ビジネスマンが集まっていた。ロビーでは英語、アラビア語だけでなく、ロシア語、ノルウェー語、中国語などさまざまな言語で商談が行われていた。
以上の通り、イラク占領自体は大失敗だったが、治安情勢は徐々に好転しつつあると思う。今こそ、神話に惑わされずに、イラクとの経済関係を深めるチャンスである。
3月1日にはバグダッドで日本イラク・ビジネスフォーラムが開催されたが、今も日本企業の慎重姿勢は変わらない。どうやら現在のイラクで成功する可能性があるのは、果敢にリスクを取る政治家と経営者だけのようだ。
◇
【プロフィル】宮家邦彦
みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年神奈川県生まれ。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。安倍内閣では、首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、AOI外交政策研究所代表。
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