日本裁判官ネットワークブログ
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1 前回の「交通事故と運転免許の更新の話など」(その2)に書いた内容に誤りがあることが分かったので,訂正しておきたい。刑務所においては,社会に復帰した場合に備えて,服役中の受刑者に対する運転免許の失効を防止する対策が講じられているとのことである。弁護士が面会するのは,多くの場合まだ刑が確定する前の刑事被告人のことが多く,このような対策が講じられていることが分からなかったということのようである。

2 私の運転免許は二度失効しているが,いずれも裁判官時代の多忙が原因で,免許の更新手続きをする時間的余裕がなかったものであり,うっかり忘れていたということではない。私は大学在学中の昭和40年1月に最初の運転免許を取得したが,マイカーを所有するようになったのは昭和56年のことであり,それまでは完全なペーパードライバーであった。その後二度,妻の運転で運転免許センターへ連れて行って貰い,免許更新の手続きをしたが,正当な理由のない更新手続きの懈怠であったため,免許は失効し,新規取得となったものであるが,実技と学科試験は免除された。

3 裁判官の中には,運転免許を有しており,マイカーの所有者でもあるのに,全く運転しないという人は案外多い。交通事故を起こすと種々問題となるので,それを避けるために,奥さんの運転に任せている場合が多いのである。そのような裁判官の中には,免許の有効期限が到来したが,どうせ乗らないからと,免許の更新手続きをせず,失効させてしまったという人が何人もいる。

4 これは笑い話であるが,ある裁判官が少年保護事件の審判をしたときのことである。その少年は,運転免許の更新を忘れて無免許となっていたのに,それを知りながら運転したということで,無免許運転罪で検挙された。他にもいくつかの非行があったようである。その裁判官は,運転免許の更新を怠ったことや無免許であることを承知の上で運転したことを非難し,社会のルールをキチンと守るように,少年に対して厳しく説教をしたというのである。そして審判を終えて執務室に帰り,ふと自分の運転免許はどうなっているかなーと,何気なく運転免許証を取り出して見たところ,思わずギョッとした。それはその裁判官の免許は数日前に有効期限が経過していたというのである。幸い宿舎から裁判所まで自転車で通勤していたので,その間無免許運転はしていなかったそうであるが,危うい話ではある。

5 色々と多忙な人は,何かと忘れ易いことになるから,なすべきことを綿密に記載したノートを作成し,忘れたりすることなく淡々となすべきことが処理されてゆく高性能な日常生活のシステムを工夫することが大切だといえようか。運転免許の更新手続きを忘れないためにも,手帳か期日簿に記載しておくのである。記憶で処理しようとすると,必ずいつかミスをすることになる。(ムサシ)


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コメント
 
 
 
質問があります、 (もこ)
2009-04-07 22:11:04
初めまして。大変興味がある記事を拝見させて頂きました。

さて、
>刑務所においては,社会に復帰した場合に備えて,服役中の受刑者に対する運転免許の失効を防止する対策が講じられているとのことである。弁護士が面会するのは,多くの場合まだ刑が確定する前の刑事被告人のことが多く,このような対策が講じられていることが分からなかったということのようである。

具体的にどのような対策が講じられているのか、教えてもらえますでしょうか。
お忙しいとは存じますが、宜しくお願い致します。
 
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