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                           かけはし2006.10.23号

安倍政権の改憲攻勢にNO!

「テロ特措法」を延長するな
自衛隊はインド洋から即時撤退を


10・6閣議決
定に抗議する

 十月六日、安倍内閣は十一月一日に期限切れとなる「テロ対策特別措置法」(テロ特措法)を一年間延長する同法改悪案を閣議決定した。二〇〇一年、米軍によるアフガニスタン攻撃に伴って小泉政権が強行成立させた同法の三度目の延長がもくろまれている。
 テロ特措法にもとづくアフガニスタン「多国籍軍」による海上自衛隊のイージス護衛艦、補給艦の派遣は、自衛隊が「対テロ」戦争に参戦することを意味していた。そして「自衛権の発動」を口実に進められた米軍によるタリバン政権への軍事的攻撃は、国際法や国連憲章にも違反する明白な侵略戦争だった。「9・11」攻撃の「当事者」は決してアフガニスタンのタリバン政権ではない。「テロリスト」も「テロリストをかくまった者」も同罪という論理で進められたアフガニスタン軍事侵攻は、決して「自衛権」発動に該当しないからである。最近、バキスタンのムシャラフ大統領は、タリバンとの関係が深かったパキスタン政府に対して、アーミテージ米国務副長官(当時)は「対テロ」戦争に協力しないと「パキスタンを石器時代に戻してやる」との脅迫を行ったことを明らかにしている。
 NATOはその結成以来初めて、「集団的安全保障」機能を発動してアフガニスタン侵略戦争に参加した。そして自衛隊のインド洋派遣もまた、「後方支援」という名目で事実上アフガニスタン侵略戦争に参戦する「集団的自衛権」の発動と紙一重である。このアフガニスタン参戦こそ、「テロとの闘いにおける国際協力」という看板でのイラク派兵の先鞭をつけたものだった。

「50年はつづく
掃討作戦」!

 防衛庁の発表によれば今年九月二十八日現在で、海上自衛隊によるアフガン多国籍軍への燃料補給は、十一カ国(米国、パキスタン、フランス、カナダ、イタリア、英国、ドイツ、ニュージーランド、オランダ、スペイン、ギリシャ)の艦船に対して計六百八十一回、補給量は約四十六万キロリットル、二百億円に達している。
 しかし六年目に入るアフガン侵略・占領は、二〇〇二年六月のカルザイ政権成立以後も、多国籍軍への抵抗と内戦が継続・拡大し、カルザイ政権は事実上首都カブールを多国籍軍に守られてなんとか維持しているだけである。米軍の関心の重点がイラクに移る中で、タリバン勢力は住民の反米・反占領意識に支えられて復活し、すでに南部四州だけで一万二千人の兵力を擁すると言われている。
 米・NATO軍は、この間、タリバン支配地域への無差別の「掃討作戦」を展開しているが、その中で一般住民が無差別に虐殺されている。「タリバン」と目された人びとへの占領軍による拉致・拷問などの人権侵害も多発し、こうしたことが首都カブールをふくめて住民の反占領・反米意識をつのらせている。アフガニスタンの情勢はイラクと同様、完全な泥沼状況に陥っており、「対テロ」戦争への「協力」を強制されたパキスタンの支配体制の危機をも作りだしている。防衛庁の幹部は、「掃討作戦は五十年は続く」と語っており(「毎日」10月6日夕刊)、まさに「終わりなき戦争」に直面しているのだ。
 世界食糧計画(WFP)によれば、アフガニスタンの人口二千五百万人のうち一二%にのぼる三百万人は「餓死寸前」とされる。侵略と占領が、貧困と飢餓をいっそう深刻化させていることがわかる。これが「テロとの闘い」や「民主化」の現実である。

アフガン占領を
終わらせよう

 この出口のない戦争の中での「テロ特措法」の一年延長は、米戦略に無条件に追随して「グローバルな日米同盟」を強化するという小泉・安倍政権の路線のまったくの無展望ぶりを見せつけるものだ。
 自民党は「海外派兵恒久法」を成立させて、自衛隊を世界中の戦場に米軍とともに実戦部隊として派兵する要求に対応しようとしている。「集団的自衛権」の発動を違憲とする政府統一見解の変更を安倍首相が検討しようとしているのは、憲法改悪までにかかる時間を待てないという焦りの表現である。北朝鮮の核実験の強行と、国連「制裁」決議は、現憲法の下での「集団的自衛権」行使に向けた政府見解の見直しをさらに加速させることになる。
 いまこそブッシュ政権による破綻した「対テロ」戦争への協力から手を切らなければならない。自衛隊をインド洋、ペルシャ湾、イラクから即時無条件に撤退させよう。アフガニスタンとイラク占領を終わらせよう。
 「テロ特措法」延長、航空自衛隊のイラク派兵延長に反対しよう。北朝鮮へのあらゆる「制裁」に反対しよう!      (純)                    



九条の会が学習会
極右的歴史認識と「集団的自衛権」行使の動きを批判


二重基準の核保
有国に大義なし

 十月七日、「九条の会」事務局は、憲法改悪と教育基本法改悪を正面に掲げた安倍政権の登場にあたって「公開学習会」を開催した。会場となった東京・代々木の全理連ビルホールには百七十人が参加した。
 最初に歴史学者の笠原十九司さん(都留文科大学教授)が「歴史認識と教育基本法改悪の動き」というテーマで報告した。笠原さんは安倍の著書『美しい国へ』を題材に、安倍の歴史認識が「つくる会」教科書とウリ二つであると指摘し、安倍にとって祖父にあたる岸元首相の下で高揚した六〇年安保闘争のトラウマが、「革新派」へのリベンジとしての彼の思想を作りだしたのではないか、と語った。
 「安倍にとって、侵略戦争への批判は『日本への悪口』であり、『自虐』であり、『中国への無批判的追従』であり、『日本に誇りを持てない』ということに直結する。A級戦犯容疑者の孫であることへのトラウマが、祖父を礼賛することによって自己を高める権力志向を作りだしたのではないか」。
 笠原さんは、一九九三年の初当選以後、一九九四年に自民党「終戦五十周年国会議員連盟」事務局長代理、一九九六年に「明るい日本・国会議員連盟」事務局長代理、一九九七年に「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(教科書議連)事務局長となった安倍の極右国家主義者としての経歴をたどりながら、「日本会議議連」や「神道政治連盟」の要職をを努めてきた彼の政治思想の危険な本質をえぐり出した。

「集団的自衛権」は
「固有の権利」か

 次に、小沢隆一さん(九条の会事務局)が「新政権下での改憲の動きと集団的自衛権」と題して報告した。
 安倍首相は「憲法で禁止されている集団的自衛権とは何かについて個別・具体的に研究する必要がある」として首相直属の「勉強会」を発足させた。安倍首相は「五年かけて実現する」明文改憲と、旧来の政府解釈を変更する集団的自衛権についての解釈改憲の両刀遣いで事態に臨んでいる。
 小沢さんはまず「集団的自衛権は、個別的自衛権と同じく、世界では国家が持つ自然の権利だと理解されている」という『美しい国へ』の安倍の記述を批判した。小沢さんは、個別的・集団的自衛権を「固有の権利」とする国連憲章五一条の規定自身が、きわめて特殊な事情の下で「発明」されたものであるとする学説を紹介しながら、集団的自衛権の「固有」性には実質的な内容はない、と述べた。そして一九六〇年の安保国会での岸首相の答弁(自国にある他国軍の基地を他国軍と共同して守ることは集団的自衛権として解釈される)から一九八五年の「集団的自衛権を行使することは、憲法上許されない」という政府統一見解にいたる変遷を追いながら、「集団的自衛権違憲論」は国民の抵抗が政府に強制したものだ、と語った。
 安倍首相は「日米同盟の双務性を高める」という立場から、従来の政府解釈の実質的変更に乗り出している。小沢さんは、日米軍事同盟強化が平和を破壊していること、そして従来の「集団的自衛権違憲」解釈の中に平和運動の力が反映されていることを確認しながら、アジアにおける平和構築のための闘いと「九条堅持」は相互補完的で一体のものだと強調し、「集団的自衛権」についての政府見解見直しに反対するよう訴えた。 (K) 


 
沖縄の闘いと連帯し防衛庁に抗議
嘉手納基地へのPAC3強行配備を許さない


武力行使正当化
する安倍政権

 十月十二日、防衛庁正門前で、米陸軍パトリオット・ミサイル(PAC3)の嘉手納弾薬庫への搬入・配備に、六十人が抗議行動を行った。
 最初に、この行動を呼びかけた沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックがこの間の沖縄での阻止行動を報告した。
 「十月十一日午前六時三十分頃、米軍は米陸軍パトリオット・ミサイル(PAC3)をうるま市の天願桟橋から嘉手納弾薬庫に強行・搬入した。この陸送を阻止するために米軍天願桟橋のゲート前に十月八日の夜から座り込んでいた市民、労働者約五十人を那覇防衛施設局は機動隊によって排除し、陸送を強行した」。
 「五月一日、日米は在日米軍再編の最終報告合意で在日米軍基地のPAC3の配備を決めたが、地元自治体を説得してからとして、配備する場所は決めていなかった。しかし、七月に国内では唯一、嘉手納基地と嘉手納弾薬庫地区への配備を決め、年内に一部運用、年度内に本格運用をスタートすると発表した。これに対して、稲嶺沖縄県知事や関連市町村は基地強化であるとすべて反対を表明した」。
 「そして、当該自治体や住民への説明すらない中、九月二十九日、ついに輸送船から約三百六十台におよぶトラックで公道を利用しての基地までの輸送を強行してきた。沖縄県や当該自治体も反発し、沖縄平和運動センターや平和市民連絡会などの市民団体や労働組合を中心に抗議行動を展開し、ついに十月一日から三日の間、ミサイル本体の陸送を阻止した。『今回の基地強化のやり方は復帰前の軍政と同じだ。米軍の傍若無人の配備に反対する』、『沖縄の負担軽減でなく負担増であり、反対住民を強権的に排除する暴挙だ」と沖縄の人々は怒っている」。「今後、米軍は独自の判断でPAC3の基地間移動の訓練を行うとしている。絶対に許せない。辺野古新基地建設と一体となって闘おう」。

当山栄さんが現
地から呼びかけ

 沖縄平和市民連絡会の当山栄さんが「軍港のある天願桟橋で二十四時間座り込みで配備阻止行動を行い、三日間止めた。県警機動隊が二百人が排除し、十六台のトレーラーでPAC3を運び入れた。私たちは10・21にPAC3配備を許さない県民総決起集会を開く。沖縄をミサイル戦争の戦場にするな。もし戦争が起これば沖縄は全滅だ。そうした恐怖感もあり、配備に絶対反対だ。普天間基地撤去、辺野古新基地建設阻止、十一月県知事選での勝利を勝ちとっていこう」と携帯電話を通じて呼びかけた。
 アジア共同行動、明大駿台文学会がPAC3の配備を批判する発言を行った。

米兵のフィリピン
女性レイプ裁判

 フィリピンピースサイクルの仲間は、米軍基地スービックレイプ事件について報告した。
 「米兵によるフィリピン女性のレイプ事件で、検事団長が告訴を取り下げた方がよいと和解を進めていることが分かった。しかし、犯人を処罰しなければ、犯罪は何回も繰り返されると被害者・家族は最後まで闘うと表明して、十一月二十七日が判決日となった。近日中に七千人で強襲上陸する米比軍事演習が行われる。この演習には沖縄と佐世保から米軍が参加する。フィリピンでレイプしたのは沖縄の米兵だ。フィリピン・韓国・沖縄・日本での基地機能を弱める、撤去のために闘おう」。
 最後に、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックが「沖縄県民の良識は決してそれを許さないであろう。みくびってはいけない。必ずや沖縄では、これに怒る人たちをさきがけとする旋風が巻き起こるであろう。米軍の横暴と防衛庁・防衛施設庁の米軍協力に対して、今は沈黙する人々も抗議のマグマを噴出させる日がやってくる。その時、米軍は日本から撤退するほかないであろう」とする抗議文を申し入れた。なお、毎月最初の月曜日6時30分から、辺野古実による防衛庁抗議行動が行われている。参加を!       (M)


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