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教師しながら劇作家 畑澤聖悟作品、東京で相次ぎ上演

2009年4月6日

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写真「親の顔が見たい」。08年の初演の舞台から=梅原渉氏撮影写真畑澤聖悟=梅原渉氏撮影

 青森県で現役の高校教師を続けながらプロの劇作家として活動する畑澤聖悟(はたさわ・せいご)(44)の作品が、東京で相次いで上演される。学校を舞台にした問題意識の高い劇を連発している畑澤は「教員も演劇も単純に面白いので、どちらも辞められない」と語る。(藤谷浩二)

■どちらも辞められない

 劇団昴に書き下ろし、昨年2月に初演された「親の顔が見たい」(黒岩亮演出)が14日から19日まで、新宿のシアターサンモールで再演される。いじめ自殺とモンスターペアレントの問題を扱った衝撃作だ。鶴屋南北戯曲賞の候補となり、NHKが再演・放送する「シアター・コレクション」の対象作にも選ばれた(24日夜、NHK教育「劇場への招待」で放送予定)。

 名門カトリック女子中で、ある生徒が自殺し、いじめをしたと遺書で名指しされた生徒の親たちが会議室に集められる。子のいじめを認めない親と学校との対立を通し、寒々しい生徒の交友関係や親のエゴが浮かび上がる。

 生徒指導の経験が長い畑澤は「ここ数年、万引きなどの非行を伝えても、逆に学校に怒りをぶつける親が増えてきた」と語る。「いじめ自殺が起きても、加害生徒の家庭についてはあまり報道されない。親が子を守るのは正義だが、子が人殺しだとしたら? 毒のある題材だが、正義が揺らぐ瞬間を描きたかった」

 畑澤は美術教師の一方、劇団「弘前劇場」の俳優を経て、30歳を過ぎてから劇作を始めた。きっかけは高校演劇の指導だという。「進歩の早い生徒と芝居を作るのは道楽」。05年に劇団「渡辺源四郎商店」を旗揚げした。

 「劇団名は祖父と父の名から取った。アーティストでございと威張るより、街の店のように、普通に存在していたい」。昨年、仲間と手作りした劇場「アトリエ・グリーンパーク」を青森市内に開いた。ここを本拠に、他の地域での公演にも積極的だ。「東京では作品を批評してもらえるのがうれしい。鳥取など地方の劇場と作品を循環させる枠組みも準備している」

 渡辺源四郎商店は畑澤作・演出の新作「3月27日のミニラ」を東京・下北沢など全国3都市で上演する。定年退職する中学校長の退任式で、かつて起きたある事件の秘密が語られる物語だ。

 現在は県立弘前中央高校教諭。書きかけの戯曲が詰まったパソコンを背負い、全国を回る。「毎年有給休暇を使い切ってしまう教員だが、演劇をやる人間が学校や地域にいた方がいいと思っている」

 「親の顔〜」は昴(03・6907・9220)。「3月27日〜」は19〜26日、アトリエ・グリーンパーク。5月2〜6日、東京・下北沢ザ・スズナリ。23日、秋田市文化会館。渡辺源四郎商店(080・1269・6158)。

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