国の外国人研修・技能実習制度を利用して来日したが、受け入れ企業の倒産や事業縮小で途中帰国した外国人が昨年10月~今年1月で1000人を超えたことが、法務省入国管理局の初めての調査で分かった。原則3年認められている期間中の打ち切りは、受け入れ側と研修・実習生側が合意すれば認められるが、実際には企業側の都合で行われるケースが大半といい、市民団体は「実質的な派遣切り」と訴えている。
東京や大阪など8カ所の入国管理局が、途中帰国した理由を不況の影響に絞って集計した。総数は1007人で、内訳は研修生222人、企業と雇用関係を結ぶ実習生が785人。月別では、昨年10月114人▽11月154人▽12月250人▽今年1月489人。
理由は受け入れ企業の事業縮小や経営悪化が921人、企業の倒産が86人だった。
入国管理局によると、07年に企業が受け入れた研修生は10万2018人。制度変更では、労働基準法の適用外になっている研修生の身分保障などが検討されている。
「外国人研修生権利ネットワーク」(東京都台東区)の高原一郎さん(57)は「実習生らの多くは来日するため70万~100万円程度の借金をしており、途中で帰ると借金しか残らない。国は何らかの対策を打つべきだ」と指摘している。【松井聡】
毎日新聞 2009年4月7日 2時30分