全国最大の指定暴力団「山口組」(総本部・神戸市)から昨年10月に除籍された後藤忠政(本名・忠正)元後藤組組長(66)が、神奈川県内の寺院で出家することが兵庫県警などの調べで7日までに分かった。得度式は釈迦の誕生日とされる灌仏会(かんぶつえ=花祭り)にちなんで今月8日に行われる見通しだが、寺院では「厳粛な儀式の場であり、公開はしない。今後を見守ってほしい」と話している。
警察当局が入手した関係者あての「得度式案内」によると、〈弟子後藤忠正儀 染衣剃髪の志を生じ皆様方の多大な御力添いを頂戴致しまして得度させて頂くことに相成りました〉と説明。
そのうえで〈得度式はみ仏様のお弟子にして頂き新たな人生に進む為の厳粛にして意義ある儀式です〉〈当日は平日でありますが御釈迦様のご降誕の良き日でありますので何卒御臨席賜り度く慎んでご案内申し上げます 合掌〉と結んでいる。
「武闘派」「経済ヤクザ」として知られた後藤組(静岡県富士宮市)は山口組傘下の有力組織だったが、昨年10月8日、神戸市の山口組総本部で開かれた会合で、後藤元組長が昨年9月、自身の誕生パーティーを有名歌手を招くなどして大々的に開いたことを執行部が問題視。これに対し後藤元組長が強く反発、口論となったとされ、同14日に除籍とされた。
当初、処分に強く反発した後藤元組長に対し、山口組執行部は一時、最も重い「絶縁」を科す方針も示した。「絶縁」はその処分を受けた組織はもちろん、その組織とかかわった組織も敵と見なされる重い処分。
その後、後藤元組長側が除籍の受け入れを表明したが、後藤元組長に同調した複数の主要団体のトップがその後、相次いで除籍や絶縁とされ、警察当局が内部抗争を警戒するなど、一時緊迫した。
警察当局は今回の後藤元組長の出家に関し、「情報は把握しているが、本人はすでに引退しており、(出家の)意図などは把握していない」としている。
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