国の公共事業費を地元の自治体が一部負担する「国直轄事業負担金」制度で、茨城県が昨年度の負担金総額約221億円のうち、約48億円の支払いを保留していることが6日、分かった。橋本昌知事が同日の記者会見で明らかにした。負担金には国土交通省の出先機関「常陸河川国道事務所」(水戸市千波町)の建設費が含まれており、橋本知事は「現場事務所ならともかく、河川国道事務所を負担金の対象にするのはおかしい」と批判。8日に予定されている金子一義国土交通相との協議でこの問題に言及する考えを示した。
橋本知事によると、負担金に同事務所の建設費が含まれていたことは、先月18日に知らされたという。知事は会見で「全く知らなかった」と説明した。
道路法と河川法では、国が行う道路や河川整備などの公共事業に対し、工事費の3分の1、維持管理費の45%を地方自治体が負担する仕組みになっているが、国の出先機関の建設費や改修費なども含むことは、最近になって明らかになったばかり。橋本知事は「(国から)はっきりした説明をいただけていない」と不満を示した。
県によると、同事務所は、常陸太田庁舎(河川)と水戸庁舎(道路)の老朽化と統合に伴って建設されており、今年度中に完成する予定。事業費は総額約21億6000万円。このうち7億2000万円が県の負担分とされ、18年度から4年間で支払うことになっていた。昨年度分は約3億2000万円。
県はすでに、昨年度の負担金総額のうち、173億5092億円を納付済み。先月末が残り約48億円の支払期限だった。
国交省によると、出先機関の建て替えなどで、地方から負担金を集めている庁舎は全国に44カ所あり、全体の事業費は約389億円に上る。このうち、118億円が地方の負担分で、昨年度分は29億円という。
橋本知事は「土木事務所の庁舎については(国の)補助対象外。河川国道事務所について直轄負担金の対象とするのは極めておかしい」と批判。「全国的な解決策を模索していく必要がある」として、国に説明を求める方針を示した。
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