笑顔の「スマイルマーク」が夜空にくっきりと浮かび上がった。金星と木星が左右の目、三日月が口を表し、笑っているように見えた。
昨年十二月一日、三つの天体が地球から見て同じ方向に並んで起こった珍しい現象だった。岡山市の浜本典子さん(41)も、仕事帰りにふと夜空を見上げて気づき、思わず笑顔になった。
その現象を紹介した翌朝の山陽新聞の記事を見て、またうれしくなったという。日本新聞協会が、読者が幸せになった記事とその思いを募る「HAPPY NEWS 2008」で、この記事の感想を寄せた浜本さんが入選した。
「子どもたちにお父さんのいない寂しさを感じさせないよう、私は、家の中を笑顔で満たすことに精いっぱいだった」。三歳と二歳の子どもを一人で育てようと決めた十四年前を振り返り、あの夜をつづった。
東京で先日行われた表彰式で、浜本さんの作品も紹介された。出席したタレントの真鍋かをりさんは「いろいろな体験をされて、心豊かになっているから、記事に引かれたのでしょう」と語った。
ほかのどの受賞作品にも、記事で勇気づけられたり、自分を見つめ直す契機になったりと、人間模様が織り込まれている。きょう四月六日は「新聞をヨム日」だ。読者の人生に寄り添う新聞であり続けたい。