CNET Japan で Linus Torvalds へのインタビュー。本論とはちょっと外れた箇所なのですが、いい台詞がありました。少し長いですが引用しておきます。
私は証明された概念というものが大好きです。ヒーローを1人挙げろといわれれば、迷わずSirIsaacNewtonを選ぶでしょう。彼が歴史に名をとどめた偉大な科学者であることも理由の1つですが、もっと大きいのは彼が遺したあの有名な言葉かもしれません。Newtonは「私が他の人より遠くを見ることができたとすれば、それは巨人の肩に乗ったからだ」といいました。
実際のNewtonは、必ずしも好人物ではなかったかもしれません。しかし、この言葉は科学を、そしてオープンソースをうまく言い表していると思います。重要なのは巨人の肩に乗り、他人の概念やアイデアの上に、改善を積み重ねていくことです。
新しいこと、変わったことがしたいという理由で、ゼロから新しいもの、変わったものを作ろうとするのは、私にいわせれば愚の骨頂であり、思い上がりです。Linuxが目覚ましい成果を上げているのは、細事にこだわり大事を逸する愚を犯していないからです。しかし、この穴に陥るプロジェクトのいかに多いことか。NIHシンドロームは病です(編集部注:NIHはNot Invented Hereの略。NIHシンドロームとは他所で開発された技術を嫌い、自社の研究成果にこだわる考え方のこと)。
最近ユーザーインタフェース(以下UI)の設計や開発をよくやっているのですが、アプリケーションの内部実装を作っているとき以上に、この Linus Torvalds が言っている台詞と同じことを、よく考えます。
UI を刷新するという話をすると、周囲の反応というのは得てして、斬新かつ先進的でユニーク、そしてユーザーの心を惹きつけるものという過度な期待であることが多いのですが、その成果が「斬新かつ先進的でユニーク」かどうかというのを期待するのは本当に正しいのかどうかという点です。
たしかにゼロから作り上げてこれまで見たことがないようなものを作ることができれば、それは賞賛に値するのでしょう。しかし、人が物を作るにあたって本当にゼロから物が作れるのかどうか。優れたものというのは過去の蓄積の上に乗っかってそこから見えるものにこそ存在するのではないかと思います。
例えば Google 検索のインタフェースは、それまでの Yahoo! をはじめとするポータルのインタフェース・デザインの逆を走ったということで、新しく先進的であったと評価されることが多いわけですが、それは Yahoo! やそのほかのポータルサイトがある意味での反面教師になったからこそできあがったインタフェースであり、決してゼロから作り上げたものではないはず。
また Google はトップページこそ斬新的でしたが、フォームに単語を入れて検索ボタンを押す、その結果はページのタイトルや解説と共に表示されページャーで次のページへ進む。タイトルをクリックすると、該当のページへジャンプする...という検索の基本的な動作に関しては Yahoo! そのほかの既存の検索エンジンと同じであり、それは模倣されたものだったのでしょう。
つまりは、何か優れたものを参考にしてインタフェースなり実装なりを作り上げていくということは、良いものを生み出すのに最適なプロセスであることが多く、「何かを模倣する」という行為を安易にネガティブに捉えてはいけないのだろう、ということを強く思うということです。
また、誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 という書籍の中では、優れたデザインというのはそれが市場に出てから 5 〜 6 回以上の試行錯誤のサイクルを経て初めて到達できるものだという話が出てきます。しかし、市場に出してそれが受け入れられたかどうかという評価はだいたいが 2 〜 3 回のサイクルで決まってしまう。つまり、製品のデザインが最良のものとなる前に、その製品はだめだというレッテルを(製品を提供する企業が)貼ってしまい、その高みへは到達できないことが往々にしてあるとのこと。
この二つの話を総合すると、何かからインスピレーションを受け、それを模倣し、改良を繰り返しながら作り上げていくことは良いプロセスであり、コツコツと加えた改良はその積み重ねにより、その製品のオリジナリティとなりえるのだろうという結論が導き出せるのだと思います。
internet magazine で貴兄の記事を見てお訊ねしました。
全くの素人なのですが、楽天のHPに Google AdSense コードをコピー&ペーストしようとしたら、“ script " タグがエラーとなり、貼り付けができません。
Google AdSense は楽天にはつかえないのでしょうか?
或いは、何か方法があるのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、お教え頂けましたら幸甚です。よろしくお願いいたします。