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眞悟の時事通信
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国防は最大の福祉である
 平成7年の阪神淡路大震災と、村山富市内閣の驚くべき無能によってもたらされた惨状を体験した時、浮かんだのが
「国防は最大の福祉である」という言葉だった。
 あの地震に襲われた国民に対する国家の具体的責務とは何だったか。
 それは、命を救う、ということである。
 危機において、国民の命を救うことが最大の福祉である。
しかし、村山富市総理大臣は、一刻を争うあの時に、国民救出に動かなかった。彼が、社会党の党首つまり無能かつ偽善の固まりであったからだ。
 この時のように、政治が国民の命を救うという任務を放棄しながら福祉国家を説く偽善を許してはならない。
 しかし、まさにこの偽善は、「戦後政治」そのものに内包されている。
 そして、この偽善は、まだ続いている。
 北朝鮮に拉致された国民の救出に関心を示さず、核とミサイルの脅威から如何にして国家と国民を守るかという方策を提示せず、「生活第一」とは何たる偽善であろうか。

 さて、昨日四月五日午前十一時三十分、北朝鮮は我が国に向けてミサイルを発射した。
 このミサイル発射は、事前予告の元に為されたものである。
また、失敗か予定通りか分からないが、アメリカ軍の発表によると衛星を軌道に乗せてはいない。ただ、三段式ロケットの切り離しには成功して長距離を飛行したことは確かである。
 このミサイルの性能等の議論は専門家に任せ、その政治的効果について次に指摘したい。

 はじめに言えることは、この性能の定かでない北朝鮮のミサイル一発は、我が国の戦後政治の「偽善という偽装」を剥がす役割を果たしている。
 戦後政治においては、中国の度重なる核実験と多数の核弾頭ミサイルの我が国に向けた実戦配備に直面しても、我が国の政治と経済界とマスコミ界の大勢は、未だ「日中友好」である。
 しかし、この度の北朝鮮のミサイル発射によって「日朝友好」を唱える勢力は表面からはいなくなったと思える。
 この北朝鮮に対する認識は、早晩、中国に対する認識の変化につながっていくであろう。つまり、対中姿勢において「日中友好」、「国連中心主義」を唱える者は、アホか、となる。
 つまり、我が国政治と国民の意識は、我が国への「脅威の認識」において正確になりつつある。そして、このことは国防の基本である。つまり、我が国の国防に於ける民意の一致がやっと生まれてきているのだ。
 麻生総理大臣の北朝鮮のミサイル迎撃方針の表明と、それを実行するための三月後半から始まったミサイル迎撃態勢を整えるためのイージス艦の出航や地上に於けるPAC3の移動と配備が連日報道されてきた。
 このような場合、今までは、イージス艦の出航する港やPAC3の配備される基地周辺で、「反基地」や「反戦平和」のデモがあり、マスコミはデモ参加者がたとえ十数名の少人数でも必ず報道してきた。また、PAC3配備に反対する地元自治体も現れ、アホな党派は、つまり村山富市氏の党派を中心にして、PAC3があれば狙われるからかえって危険だと、まるで自衛隊が国民への脅威であるかのように煽っていた。これが、「戦後」であった。
 しかし、この度の北朝鮮ミサイル迎撃態勢に関して、このような動きは無かった。
 このことは、国民が等しく脅威を認識し、それに対処する自衛隊の行動を当然のこととして受け入れたことを示している。
 これは、いざとなれば国民の命を守ることができる真の福祉国家の方向に我が国の体制が整えられつつあることを意味している。

 もっとも、四月四日に「北朝鮮ミサイル発射」との誤報があったことに関して、戦後偽装の「生活第一」陣営の幹部が、鬼の首を取ったように政府を街頭で非難したと報道されていた。
 しかし、速報において誤報を全て排除することはできない。従来のように、ミサイル発射後一時間以上経過してから国民に発表してもよいというのならともかく。これでは、津波が通り過ぎてから津波が来ましたと発表するようなものである。
 北朝鮮から発射して七分で我が国に達するミサイルは、速報しなければならない。誤報を恐れて速報しないことの方が国民に惨害が及ぶ。
 もっともらしい顔をした戦後の生んだ偽善者よ、何時までも、アホなことを街頭でしゃべって恥をさらすな。

 次に、この度のミサイル発射は、多くの教訓を残し、我が国の国防体制の欠落を浮き彫りにした。
 それは、「専守防衛」という未だによく分からない我が国独特の防衛原則である。これこそ、戦後政治が生み出した政治用語である。決して軍事用語ではない。
 この原則の中身は、よく分からないが、相手側から観れば、次の通り明確である。
 つまり、ただ防御だけをして全く反撃しないし攻撃もしない、このような日本は全く脅威にならない。相手としては何のためらいもなく、気楽に攻撃を繰り返すことができる。そして、こう思うであろう。例え性能が悪くても、十、二十回と撃てば二・三発は命中する。従って、必ず勝てる、と。
 これが、我が国の「専守防衛」という原則が、北朝鮮や中国や韓国やロシアに与える効果である。これは、はっきりしている。
 
 そして、この「専守防衛」に一番マッチするのが、この度迎撃態勢を整えたミサイル防衛システム(MD)だ。
 MD自体が不要と言っているのではない。MDに頼って他に何も攻撃手段をもたなければ、かつてドイツ国境に延々と築いた要塞であるマジノラインに頼って自滅したフランスのようになると憂いているのだ。
 核ミサイルからの我が国防衛にとって、MDは万策を尽くした後の最後の手段と位置づけねばならない。
 ミサイルは発射されてから潰すのは至難のことであるから、速やかに地上にあるときか発射直後の速度の遅いブースト段階で潰さねばならない。
 従って、我が国には、海の向こうの敵ミサイル基地を破壊することができる「戦略爆撃空軍」と「空母機動部隊」が必要である。さらに、海を渡って敵ミサイル基地周辺を制圧できる海兵隊こそ我が国に必要な陸上兵力である。

 さらに、そもそも相手国に、我が国に向かってミサイルを撃とうなどという考えを起こさせてはならない。
 その考えを起こさせないという抑止力こそ、核抑止力である。
 
 我が国は、核抑止力を確保しなければならない。
これは、我が国が自ら核爆弾を製造するということに直結させる必要はない。
 オバマ大統領は、アメリカの戦略核を八十パーセントも削減すると言っている。
 従って、アメリカに対して、核を八十パーセントも削減するのなら廃棄せずに日本に寄こせと言える。また、アメリカとNATO諸国が現実に実施しているアメリカの核のレンタルを我が国との間でも実施することもできる。

 最後に指摘すべきは、北朝鮮は、現実に、我が国の上空に向かってミサイルを撃てたということである。
 これは、「専守防衛」の日本は、何の反撃もしないと見切っているからである。また、この発射によっても結局不利益を被ることはなく、何れ大きなメリットを受け取ることができると判断しているからである。
 従って、我が国が北朝鮮にこの二つの思い込みを変更する必要があると思わせねばならない。
 反対に、現在のままの姿勢でおる限り、北朝鮮は我が国に向けてミサイルを撃ち続けることになると覚悟すべきである。
 そこで、結論は明らかであろう。
 
 北朝鮮にミサイルが撃てると思わせてはならない。
 まず、「専守防衛」の奇妙な原則を捨て去り国家防衛の基本を取り戻すこと。つまり、先制攻撃力を充実させねばならない。
 さらに、北朝鮮に対して、全面的制裁を実施し、この度のミサイル発射が体制崩壊を招くと思わせることである。
 その為には、我が国と北朝鮮間の人、物、金の流れを完全に遮断する措置を執るとともに、北朝鮮と取引する国があるならば、その国に対するODA援助を取り消し、また、その国の主要銀行との金融取引を停止し、北朝鮮制裁へ向けた国際社会の共同歩調がないならば、先に約束したIMFへの十兆円の出資も取り消すべきである。
平成
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