坂井泉水さん襲った子宮頸がんは「１００％予防できる」

　多くのファンに衝撃を与えた人気グループ「ＺＡＲＤ」のボーカル、坂井泉水さんの死（享年４０）。子宮頸がんによる子宮摘出、肺への転移など知られざるがん闘病がその死後明らかになった。

　子宮頸がんといえばこれまでも向井亜紀さん、大竹しのぶさんら、多くの女性タレントを襲ってきた。自覚症状が無く、気づいた時には進行しているケースも多いが一方で発病の原因が解明されており、「１００％予防できるがん」でもあるのだ。
　「子宮頸がん」は子宮の入り口（頸部）にできるがんで、子宮そのものにできる「子宮体がん」と大別される。一般に言う「子宮がん」は、この２つを総称したもので、内訳は７対３で圧倒的に子宮頸がんが多い。芸能人では向井さん、大竹さんをはじめ、仁科亜季子さん、洞口依子さん、故松原みきさん（歌手）ら。いずれも発症が３０、４０代と他のがんに比べて若い。
　「閉経後の５０歳以上に多い子宮体がんに比べて子宮頸がんはここ数年、２０代の女性にも急増している。背景には性交渉の若年化。子宮頸がんは、性交渉によるウイルス感染が原因で発症するからです」と話すのは金沢大学医学部准教授でＮＰＯ法人「子宮頸がんを考える市民の会」理事長、笹川寿之医師。
　近年の研究で、子宮頸がんはＨＰＶ（ヒト・パピローマウイルス）に感染することで発症することが分かっている。
　「子宮頸がんの患者を調べると９５％以上からＨＰＶが検出される。当然、性交渉が多ければ感染の確率は高くなります。しかし、実際は性交渉のある女性なら一度は感染しているのです。普通は性交経験後まもなく感染しますが、感染しても多くは感染から２年以内に自然に治癒します。ところが免疫力を弱める因子、たとえば喫煙や数多くの出産、エイズウイルス（ＨＩＶ）感染などによって感染が持続化した場合にがんに進行すると考えられます」
　ＨＰＶ感染が即がんにつながるわけではない。感染から発症まで平均１０年以上、その間さまざまな要因が積み重なった結果の発症だ。それだけに未然に防ぐ手だてもある。
　「予防は、とにかく自分がＨＰＶに感染しているか否かを知ること。簡単な細胞診で分かります。４０代以上ではがんが進行している可能性が高い。２０代後半から３０代までにぜひ、検査を受けていただきたい」
　病院での検査がベストだが、自宅でできるＨＰＶ検査キット（細胞診の代用）もインターネットで販売されている（「子宮頸がんを考える市民の会」ＨＰ）。
　ちなみに男性がＨＰＶに感染しても陰茎がんなどを発症する例は極めて少ないという。また現在、男性の側が行うＨＰＶ検査法は一般化されていない。それだけにぜひとも、奥さんや恋人に積極的に検診を勧めてみて欲しい。（2007.06.04紙面掲載）

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