北朝鮮が予告通り長距離弾道ミサイルを発射し、とりあえず日本を含む関係国に直接的な被害はなかったことで、ひとまず焦点は国連安全保障理事会での対北決議の行方に移りました。ご存じの通り、日本は新決議を打ち出し、北朝鮮に対する国際包囲網を強めたい考えですが、北と関係が深い中国は慎重姿勢で、ロシアはあいまいな態度をとっています。
この問題をめぐっては、中曽根外相が昨日、国連安保理常任理事国5カ国すべての外相と韓国外相、国連安保理議長国であるメキシコの駐日大使に電話して安保理での協力を呼びかけ、本日も豪州外相と電話会談を行っています。そこできょうは、中曽根氏の「新決議を!」との呼びかけに対して各国外相・大使がどう答えたかを紹介します。あくまで「外務省によると」の話なので、実際はもう少し違った内容・表現もあったかもしれませんが、とりあえず現時点で分かっているのは次の通りです。何かの参考になれば幸いです。
米国・クリントン国務長官 「北朝鮮の行為に対する深い懸念と非難を共有する。日米が明確で強固な立場をともにとっていくことが重要であり、日米で協力していきたい」
フランス・クシュネール外相 「日本の対応をよく理解できる。北朝鮮の行為は地域の安定を阻害するものであり、フランスを頼りにしていただいて結構である。安保理での対応については、国連代表部を通じ行っていきたい」
英国・ミリバンド外相 「北朝鮮の行為に対する深い懸念と非難を共有する。また、本日、(英国は)発射は国連安保理決議1718号違反であり、北朝鮮は6カ国協議プロセスにコミットすべきであるとの声明を発出した。英国としても、日本を含む関係国の努力を支持し、最大限の協力をしたい。安保理において北朝鮮に対して強いメッセージを送ることが重要だ」
中国・楊外相 「日本を含む関係国の関心は理解している。6カ国協議プロセスを推進し、朝鮮半島の非核化を実現し、この地域の平和と安定を維持することが各国の利益に資するものであり、国際社会の願いでもある。関係国が大局に立って冷静に対処することが重要である」
ロシア・ラブロフ外相 「ロシアも含め、6カ国協議の関係国が発射を行わないよう説得したにもかかわらず、今回発射に至ったことは遺憾である。ロシアは発射がもたらした日本側の憂慮を理解しており、我々も懸念を抱いている。今後、技術的データを検討しながら、またそれと並行して国連安保理で作業を開始する用意がある。安保理の対応については、関係国でコンセンサスが得られるよう、日本側とも緊密に協議していきたい」
韓国・柳外交通商相 「北朝鮮に対して強いメッセージを発信することが重要であり、韓国としても、日本をはじめとする関係国の努力を支持し最大限の協力をしたい」
豪州・スミス外相 「北朝鮮の発射行為は極めて挑発的であり、かつ、国連安保理決議1718号違反であり非難する。豪州として日米韓などと緊密に協力し、安保理理事会及び国際社会が強い対応をとるよう慫慂していく」
メキシコ・カバーニャス駐日大使 「メキシコ政府としても今回の事態を重大な懸念を持って受け止めており、安保理議長国として、日本の懸念が適切に国際社会に反映されるよう役割を果たしていきたい。エスピノサ外相は聖週刊(セマナ・サンタ)の長期休暇に入っているが、北朝鮮の発射について重大な関心を持って注視しており、日本の考え方については早速メキシコ政府関係者に伝達したい」
…各国の立場・環境の違いがよく表れています。中国はまあ、もともとそういう国ですが、日本の要請を軽く受け流して相手にしていません。ロシアでさえ、「日本側の憂慮」としているところを、「日本を含む関係国の関心」とことさら矮小化する姿勢が小憎らしいですね。こういうことは一つひとつ記録し、覚えておいて、中国が将来、何らかの協力を求めてきた際には取り上げてねちねちやるべきでしょう。
今回、麻生氏は安保理での駆け引きについてまずは「高めの球」を投げておき、しかる後に妥当な着地点を探る作戦のようですが、どうなるか。外務省幹部も「必死で(交渉・駆け引きを)やっている」と言っていますが、ぜひ納得できる結果を出してほしいものだと思います。政府は10日には、日本独自の制裁措置強化の方針もとりまとめるそうですし、その行方を注視したいと思います。
※写真の1枚目と2枚目は外務省、3枚目は財務省前で撮ったものです。外務省の桜はもう散り始めていました。早いものです。
by m-keith
北ミサイル問題・中曽根外相の…