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どうする「未病」:ピロリ菌除菌 胃がん予防に効果あり! 保険適用は限定的

 「ピロリ菌除菌で胃がん予防。発症リスク3分の1に期待」。先ごろ、こんなピロリ菌に関するニュースが報じられました。

 私たちのお腹の中には100兆個もの細菌があり、これらが善玉菌と悪玉菌に分かれていることを多くの人が知っていると思います。一般に善玉菌の代表はヨーグルトでおなじみの乳酸菌やビフィズス菌で、悪玉菌といえばピロリ菌が代表格です。

 これまでピロリ菌が十二指腸潰瘍や胃潰瘍に大きなかかわりを持っていることは知られていましたが、胃がんとの関係は統計的な予測の範囲でしかありませんでした。そこで、ピロリ菌を専門とする日本ヘリコバクター学会(理事長・浅香正博北海道大学教授)が早期の胃がん患者約500人を3年にわたって調査しました。内視鏡治療後に2次胃がん(治した部分以外の胃がん)が発生するかどうかを、ピロリ菌を除去した患者としなかった患者に分けて調べたところ、除去した患者の発生率は低く、胃がんのリスクが3分の1に軽減していたというのです。

 厚生労働省によると、胃がんと診断される患者は年間約10万人に上り、うち約5万人が死亡しています。ピロリ菌の感染率は高齢者になるほど高く、団塊世代が70代を迎えるおよそ10年後には、感染者数の一層の増加が予想されます。

 浅香教授らは調査結果などから、胃がんの原因の多くがピロリ菌による感染症であることが明らかになったとし、将来、除菌によって、胃がん死亡者が大幅に減ることに期待を寄せています。

 ただ、現在、医療保険でピロリ菌の除菌が認められているのは、胃潰瘍か十二指腸潰瘍の患者に限られています。従って、予防のための外来には保険は適用されず、同学会は同省に適用拡大を求める要望書を提出しています。

 こうした中で、浅香教授のお膝元、北海道大学病院は3月から「ピロリ菌専門外来」を開始し、「胃がん予防のためにピロリ菌を除去したい」「まずは感染の有無を検査してほしい」という人たちに門戸を開きました。診療費は検査のみが1万5330~2万7405円。検査から除菌・判定までは2万8770~4万6830円(薬代別)とのことです。(倭村英敏/ライター・オフィスクリオ所属)

2009年4月6日

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