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アスベスト:食・医薬品にも中国産の不良タルク

2006年から数百の輸入製品を生産

 アスベストが混入した中国産の不良「タルク(滑石)」を原料として入手していた韓国の化粧品・製薬・食品メーカーが約300社に達するという調査結果が明らかになり、ベビーパウダーに端を発したアスベスト・ショックは食品・製薬分野にまで拡大しつつある。

 食品医薬品安全庁のユ・ムヨン医薬品安全政策課長は5日、「独自調査の結果、アスベストが含まれる輸入タルク製品“トクサン・タルク(トクサン薬品工業が輸入)”を使用し、製品を生産した化粧品・製薬・食品メーカーは300社を超える」と述べた。

 パウダーなど粉末状の化粧品に多く使われるタルクは、錠剤のコーティング用だけでなく、かみ心地をソフトにすることからガムにも添加されるなど、食品・製薬分野で幅広く使用されている。自然の状態におけるタルクはアスベストが多く含まれる蛇紋石と混じっていることもあり、精製・加工が不十分なタルク製品にはアスベストが混入する可能性が高い。

 トクサン・タルクは2006年から輸入されており、これを原料として購入したメーカー約300社がこれまでに生産した製品は数百種類以上に上ると見られる。

 食品医薬品安全庁は、トクサン・タルクが使われている製品を回収し検査する一方、これを原料にしている製品の現況を6日にも発表する予定だ。

 同庁は、トクサン・タルクが含まれる化粧品に対しては最終リストの確認が終わり次第、流通禁止措置に乗り出す方針だが、同製品を原料とする医薬品については販売禁止・回収措置を取るかどうか慎重に検討している。

 アスベストを吸入し呼吸器に入った場合、がんを誘発することが確認されているが、医薬品やガムに含まれるタルクの量はごくわずかで、微量のアスベストが人体に及ぼす影響についてはまだ解明されていないためだ。

 日本の厚生労働省も2005年、「食品から摂取したアスベストが危険という証拠はないため、飲料水に関するアスベストのガイドラインを設ける必要はない」と発表している。

 同庁のユ課長は「高血圧や糖尿病など、毎日錠剤を服用しなければならない慢性疾患の患者がアスベストを恐れ、自身の判断で服用を中止すると、すぐに病状が悪化する危険性もあるため、専門家らと協議した上で禁止するかどうかを決める方針」と話している。

 カトリック大学産業医学科のキム・ヒョンリョル教授は「十分な加工が施され、質のよいタルクにはアスベストが混入していないが、輸入会社が安価で品質の悪いタルクを持ち込んだことから問題が生じた。アスベスト・ショックが起きるまで、タルクに混じったアスベストの含有量基準や、アスベスト検査義務制度を定めなかった保健当局にも責任がある」と指摘する。

 問題の中国産タルクを輸入したトクサン薬品工業の取締役は、本紙との電話インタビューで「06年より中国からタルクを輸入しているが、製品検査リストにアスベスト検査は記載されていなかったため、特に検査は行っていない」と語った。

 食品医薬品安全庁はベビーパウダーからアスベストが検出された翌日の2日、「化粧品や医薬品などにアスベストが混入してはならない」という基準を示していた。

呉允煕(オ・ユンヒ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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