

皆さん、こんにちは。
ディレクターの金田です。
手術って、皆さんはどんな印象をお持ちでしょう?
命を救うために必要な処置とは分かっていても、まずは、「痛そう」「怖い」という印象があって、願わくば、一生受けずにおきたいものではないでしょうか。
では逆に、手術を行う側、執刀する側になりたいか、と言うと、それも「怖い」、又は考えにくいかと思います。
だから、ゲームで執刀したい?と言われると、躊躇される方も多いのではないかと思います。
極端な話、「ふーん」とは思っても「面白そうっ」とは感じ難いジャンルではないでしょうか。
カドゥケウスは手術のゲームですから、そうした意味では不利なスタートですね。
ではカドゥケウスは、プレイヤーに手術のなんたるかを知って欲しいゲームなのかと言うと、実のところ、そんなコンセプトやテーマは、全くと言ってよいほど考えていません。
もちろん、ゲーム内容を決めるに当たっては、多くの資料を調べ、必要なら取材を行い、ある程度、本当の術式を模した内容とはしていますが、それらは手術らしい現実味や雰囲気を持たせるためのものであって、本質的な、このゲームのテーマとは少し違うんです。

カドゥケウスでプレイヤーに体感していただきたい事は、「命を救う戦い」であり、その先にある「命の尊さ」です。
人の命を左右する「手術」と言う行為を通して、今にも切れそうな生命の糸を、必死に手繰り寄せては紡ぎ続ける、医療の世界の戦いを、ゲームだからこそ体感という形で表現しかったんです。
それはカドゥケウスの、シリーズを通して守って行きたい、テーマであり、結局はそれが、カドゥケウスをゲームらしいゲームへと導いた理由でもありました。
精密な手技や繊細な操作など、手術をリアルにシミュレートしていては、「救命の戦い」としての本質が、その前の手続きに隠されてしまいます。
ゲームらしく操作をシンプルにまとめ、手術の進行にも、駆け引きや戦略性を露骨に設けることで、そもそもの救命というテーマを、より顕著にしたかったんです。

そうなってくると、次は「どんなゲームにするか」という話になるのですが、私はゲームにおいてまず大切なことは、操作感だと思っています。
戦略性、駆け引き、どちらも大切なゲーム性ですが、それもこれも、操作感が良い事が、前提だと思うんです。
昔のゲームは、演出表現などが限られていた分、操作に対するダイレクト感は非常に強く、それこそ、手馴れた人がプレイしている画面は、進行が早すぎて、傍から見ていると、何が起きているのかよく分からないような物もありました。
でも、それで良いと思うんです。
どんなに早く展開しようと、操作している人には、何が起きているかは分かりますし、何より、自分の操作にゲームが付いてくる、「操作する気持ちよさが」そうしたゲームにはありました。
表現力が増した現在のハードにおいても、そのダイレクト感は、とても大切だと思うんです。
そして、プレイヤーの手の動きが、その速度も含めて伝達されるWiiリモコンは、自分にとって、まさに最高のコントローラーでした。
もちろん、タッチパネルも同じことが言えますね。
自分が腕を早く動かせば、ゲームも早く進行し、その動きに付いてくる。
そのダイレクト感は、作り方次第でプレイヤーとゲームの一体感をより強くし、操作方法に邪魔されない、本質的なゲーム性を、プレイヤーに体感させます。
そして、そんな操作感を実現した上で、難しいゲーム性を構築することで、難しいゲームは、理不尽なゲームではなく、やり応えのあるゲームとしてプレイヤーの心を掴むのだと思います。
この考えは、前作「Z」から心掛けていた事であり、今回のNEW BLOODにおいても、確実にそれを反映させることができました。

私は今回、カドゥケウスNBでディレクターを務めるにあたり、スタッフと、この志を共有できたことが、何より嬉しく思いました。
それはカドケチームのスタッフそれぞれが、好みに違いこそあれ、ゲームらしいゲームという目標に賛同し、また情熱を持ってくれたからこそだと思っていますし、その結果は、ニューブラッドのゲーム性に色濃く現れました。
ただ残念なことは、私や、スタッフ達がこのゲームに込めた”感覚”というものは、言葉や写真では、なかなかお伝えできないという点です。
けれど、ただ一つ言えることは、私は、ゲームが大好きです。
カドケスタッフも、ゲームが大好きです。
だから、ゲームが好きな方に遊んで欲しくて、こんなゲームを作りました。
アニメや映画の延長ではない、生粋のゲーム魂。
是非、体感して欲しいと思います。
やってみたら、意外と面白いですよ。
最後に、このサイトを訪れて下さり、本当にありがとうございます。
そして、長文だったにも関わらず、ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
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