きょうのコラム「時鐘」 2009年4月6日

 ミサイル騒動に水を差されてしまったが、咲き始めた桜に心が浮き立つ。国際情勢が緊迫しようが、不景気風が吹こうが、花見を忘れるわけにはいかない

おなじみの落語「長屋の花見」は、水で薄めた番茶を酒に見立てて、大家と長屋の連中が繰り出す。黄色いタクアンが卵焼き、半月形に切った大根のコウコがかまぼこ。お粗末な宴会だが、不況風に首をすくめて閉じこもるより、よほどいい

世界の首脳が集まった金融サミットで、10年末までの景気回復を目標とする宣言が採択された。まだ不況のトンネルが続くといわれると、深いため息が出る

前年度の2次補正、本年度予算、さらに大型補正による経済対策が進む。さしずめ、景気回復に向けての3段ロケット。物騒なロケットが去った後は、こちらの行方が気になる。順調に飛んでくれるか、燃料不足になりはしないか。万一にも失速は許されない

「長屋の花見」はめでたいオチで終わる。「近くいいことがありそうだ」「ほう」「茶わんの酒に茶柱ならぬ『酒柱』が立っている」。明るい明日を願っておチャケで乾杯。そんな花見も悪くない。