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ミサイル:北朝鮮のロケット技術とは(上)

ロケット2段目の落下地点、北の予想より400キロ手前

 北朝鮮は人工衛星を打ち上げたと発表したが、国際社会が懸念しているのは、北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射能力を持っているかどうかだ。人工衛星の発射体はいつでも弾道ミサイルに転用可能だからだ。果たして、北朝鮮はICBM技術を確保したのだろうか。

◆本格的な弾道ミサイル技術は確保できず

 韓米当局は5日、北朝鮮が発射したロケットが人工衛星を地球の周回軌道へ投入することに失敗したと発表した。その理由として専門家らは、1段目から3段目までのロケットが正常な推進力を発揮できなかったからだとみている。この点から米国は、ロケットがICBMとして脅威になることはない、との評価を下したものと思われる。

 北朝鮮はロケット発射前、国際海事機関(IMO)に対し、咸鏡北道花台郡舞水端里の試験場から650キロ離れた東海(日本海)の海上に1段目が、3600キロ離れた北太平洋上に2段目が落下すると通告した。北朝鮮が異例にも発射に関する情報を事前に公開したことを受け、国際社会は北朝鮮がロケット技術について相当の自信を持っているものと解釈した。

 しかし実際には、1段目のロケットは予想より約150キロ、2段目は予想より約400キロも手前の地点に落下したものと思われる。韓国航空大の張泳根(チャン・ヨングン)教授は、「これは誤差の範囲を超えている。それぞれのロケットがきちんと燃焼しなかったと見ることができる」と語った。

 韓国航空宇宙研究院の趙光来(チョ・グァンレ)発射体研究本部長も、「北朝鮮が事前に発表した通りに発射体が設計されていたならば、ロケットの燃焼に問題があったと見ることができる。簡単に言えば、エンジンが思ったほど燃えなかったため、3段目のロケットを予定高度まで押し上げられず、人工衛星が予定の軌道に乗れなかった可能性がある」と語った。

 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)は、「(1段目落下後に)搭載物本体を含む残りの飛翔体は太平洋に着水した」と発表し、韓国外交通商部の関係者は「2段目と3段目は、そもそも分離しなかったか、分離はしたもののほとんど同じ地点に落下したものと見ている」と語った。3段目のロケットは、最終的に人工衛星を軌道に上げるか、あるいは弾頭部を地上に向ける役割を果たす。1段目・2段目の推進力が不足していたのか、3段目そのものの問題なのかはともかく、弾道ミサイルへの転用の可能性を示すことには失敗した、と見ることができる。

 一方で、北朝鮮は最初から2段目・3段目を分離させる考えを持っていなかった、という主張も出ている。韓国のある人工衛星専門家は、「現在では、2段目・3段目の分離が技術的に失敗したのか、あるいは分離して人工衛星を軌道に乗せる意志が最初からない構造だったのか、見分けがつかない。時間帯別のロケットの高度・速度などの情報が得られれば、二つの違いを区別することができる」と語った。

チョ・ホジン記者

李永完(イ・ヨンワン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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