国連安保理、北朝鮮ロケット発射で直ちに行動取らず
[国連 5日 ロイター] 国連安全保障理事会は5日、北朝鮮が国際社会の制止を振り切ってロケット発射したことを受けて開催した緊急会合を終えた。
緊急会合では、北朝鮮に対して直ちに何らかの措置は取らないものの、どのような対応をとるかについて議論を継続することで合意した。
議長国を務めたメキシコのヘラー国連大使は、記者団に対し「安保理メンバーは、問題の緊急性に鑑み、安保理による適切な措置に関する議論を継続することで合意した」と述べた。
日米韓は発射について、北朝鮮に弾道ミサイル発射の停止を要求する安保理決議に反すると主張。
一方、安保理外交筋によると、中国とロシアは発射が国連のルールに違反するかどうか確信はないとしており、リビア、ベトナム、ウガンダもこの立場を支持しているという。北朝鮮は今回の発射を衛星の打ち上げだったとしている。
ある外交筋はロイターに対し「10対5だ」と語った。
外交筋によると、安保理メンバーは発射に「懸念」を表明するため、記者団向けの拘束力を持たない声明の作成に1時間近くを費やしたものの、ロシア、中国と上記3国が「懸念」という文言の使用に合意せず、声明は破棄された。
中国の張業遂国連大使は会合の後、記者団に対し「すべての関係国が自制に努め、一段の緊張化につながりかねない行動を慎むべき、というのがわれわれの立場だ」と述べ、「安保理としての対応については、慎重かつバランスのとれたものでなければならない、というのがわれわれの立場だ」と語った。
ライス米国連大使は、今回の発射が、2006年に北朝鮮が核実験の実施などを発表したことを受けて採択された決議1718号に違反するかをめぐっては意見が分かれていることを認め、「メンバーはこのトピックについてさまざまな見解を示した」と述べた。安保理決議1718号は、北朝鮮に弾道ミサイル発射と核実験の停止を要求している。
外交筋によると、日米は既存の制裁の実施強化、あるいは拡大を求めた決議案の作成に当たっている。一方、中国とロシアは、北朝鮮に対する新たな制裁が盛り込まれる決議案には拒否権を発動する構えを明確にしているという。
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