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県内の妊婦健診補助拡充　全市町村、全回分を負担

2009/04/05(日)　本紙朝刊　総合１面　Ａ版　1頁

大子町全額、他は85％
　出産前の女性と胎児の健康状態を診断する「妊婦健康診査」について、受診が望ましいとされる全14回分の補助を県内すべての市町村が4月から実施することが、県のまとめで分かった。国が2008年度第二次補正予算に関連予算を盛り込んだのを受けた措置で、大子町では独自に補助を上乗せし健診費用全額を公費負担する。同町以外の市町村でも補助額は健診費用の約85％をカバー。10月から出産育児一時金が4万円上昇して42万円になるのと併せ、出産までの費用負担が大きく軽減される。
　県子ども家庭課によると、妊婦健診は県内全44市町村のうち大子町が全額を補助、残る43市町村が計9万5000円を補助する。国が示す標準的な検査項目を実施すると14回で計約11万3000円かかるが、補助拡充で「無料化」に近づいた。県外での里帰り出産にも一時立て替えなどで対応する。
　国の二次補正予算成立を受け、常陸太田市、稲敷市、つくばみらい市、城里町の4市町は2月から前倒しで補助を拡充している。
　国は補助の財源を地方交付税で措置し、07年度からは5回分を市町村に交付。08年度から県内すべての市町村（八千代町は年度途中から）が2回だった補助を5回以上に増やし、大洗町は10回まで拡大していた。
　妊婦健診は妊娠が病気ではないことから健康保険の適用外。本年度から検査項目に風疹（ふうしん）ウイルスやＨＩＶの抗体検査が加わる1回目の検査が約2万5000円、2－14回目は1回当たり1万円から5000円程度必要となる。
　水戸市は1日から、市役所や保健センターで受診票の交換を開始。5月下旬に出産予定の佐々木章子さん(34)は「回によっては1万円近く掛かるので（補助拡充は）本当に助かる」と話した。
　国は今回、出産年齢の上昇傾向や、経済的理由で健診をしない妊婦の増加を理由に公費負担を拡充。財源のうち5回分は従来通りの交付税措置とし、残り9回分は交付税措置と県の補助（国交付金を充当）を半分ずつ組み合わせる仕組みとした。
　ただ、交付税は一般財源として使途が限定されないため、日本産婦人科医会の調べでは全国で補助額にばらつきが出ている。同会常務理事で石渡産婦人科病院（水戸市）の石渡勇院長は「交付税が別の用途に使われ、他県では補助が5万円台のところもある。それに比べれば本県の補助はかなり手厚い」としている。
　県子ども家庭課の森戸久雄課長は「全く健診を受けない『飛び込み出産』は特にリスクが高い。補助を活用して必ず受診してもらいたい」としている。

【写真説明】
新たな妊婦健診受診票を渡される女性＝水戸市笠原町の市保健センター

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