伊那中央行政組合(組合長・小坂樫男伊那市長)が運営する伊那中央病院(伊那市)で2008年度に取り扱った総分娩件数は1170件(前年度比149件増)に上り、03年の開院後で最高となったことが同病院のまとめで分かった。昭和伊南総合病院(駒ケ根市)の産科休止に伴い、昨年4月から上伊那の公立病院で分娩を取り扱うのが同病院だけとなったためで、「ほぼ見込み通りの件数」(事務局)。一方、施設面などから、里帰り出産の受け入れ中止は続けざるを得ない―として、住民の理解を求めている。
分娩件数は、月平均で98件(前年度比13件増)。月別では9月の116件を最高に100件以上が5カ月あった。「施設的に月100件が限界」で、件数的には綱渡りの状況だったという。
産科医は昨年4月に2人増の6人でスタートし、8月から7人となった。医師1人当たりの分娩件数は07年度約250件に対し、08年度後半は約170件に減少したが、理想とされる最大約150件を上回る。「県内の病院の中でも医師1人当たりの分娩件数は非常に多く、依然として医師の負担は大きい」としている。産科医は3月末で1人退職した。
医師の負担軽減の面では、助産師外来の本格実施も課題。妊婦健診の一部を助産師だけで対応するもので、現状の助産師数(34人)では足りず、「あと10人くらい確保したい」という。
上伊那地域の医療で公立病院の役割は大きく、分娩も07年度までは年間約1600件のうち約1500件を2病院で担っていた。昭和伊南の産科休止に伴い、それまで2割を占めていた里帰り出産の受け入れを中止した上で、上伊那地域の約1200件の分娩を伊那中央で対応すると見込み、分娩室増設など施設の整備もした。