花のうたげに染まる週末の土曜日、日本列島が緊張に包まれた。「衛星の打ち上げ準備が完了し、間もなく打ち上げられる」。北朝鮮側の発表は午前十時ごろ。誰もが数時間のうちに発射されると思ったのではないか。
北朝鮮が「人工衛星」と主張する長距離弾道ミサイルを、発射すると予告したのは四日から八日の間。これまでは事前通告などはなかったのに、今回は時間も午前十一―午後四時と区切ってきた。それだけに、初日の「間もなく」という発表には身構えた。
緊迫感が高まる中、正午すぎのNHKローカルニュースが突然、東京のスタジオに切り替わった。「北朝鮮から飛翔体が発射されたもよう」。上昇するミサイルが脳裏に浮かび、上空の通過が予想される東北地方の様子が気になった。
「誤探知」と報じられたのは間もなくだ。ミサイルが発射されていないことにホッとはしたものの、日本側の情報の確認・伝達のお粗末さには今後へ不安を残した。
北朝鮮側が通告していた午後四時までの時間帯に発射は確認されず、肩透かしとなった。「間もなく打ち上げられる」という“あいまい”な表現が混乱を招いたといえる。
上空通過が予想される地域の不安はますます高まるだろう。日本政府は警戒と正しい情報伝達に万全を期してもらいたい。