入学シーズンを迎え、子に携帯電話を持たせる家庭が増える。ネットを利用した児童買春やいじめ、ケータイ依存が問題化する中、「青少年インターネット環境整備法」が1日、施行された。企業に子どもが安心して使えるネット環境作りを義務付けるとともに、親にも“ネットのしつけ”の責務が課された。何をすればいいのか。【中村美奈子】
■親の責務法制化
同法は18歳未満が使う携帯電話やPHSに有害サイトを閲覧できなくするフィルタリング機能を付けるよう、企業に義務付けている。子どもが使う携帯やPHSには購入時に店頭で無料提供し、成長に応じ解除できる。パソコンにはフィルタリングソフト(利用は有料)が搭載される。
また、親に対しては(1)ネットの有害情報による犯罪やいじめの発生状況を知る(2)携帯電話購入時には「子どもが使う」と店に申し出る(3)ネットの適切な使い方を子に教える--などが課された。
■メールのマナー
フィルタリングにより、出会い系など有害サイトへのアクセスはできなくなるが、掲示板に安易に個人情報を書き込んだり、メール依存になるのを防ぐには、家庭内でのルール作りが必要になる。
「インターネット先進ユーザーの会」(東京都)の小寺信良代表理事はまず、購入時に親が機種や料金コースを選択し、コンテンツ代の上限設定をするよう推奨。教えるべきマナーとして(1)食事中はメールをしない(2)人と話している時は操作しない(3)利用時間を決める--などを挙げる。
■仕組み、特徴も
ただし「マナーだけでは不十分。自分で問題に対処できるよう、早くからネットの仕組みを教えるべきだ」。簡単な仕組みは10歳程度で分かるという。
特にメールの特徴を理解させることが重要だ。電話はお互いが伝えたいことを確認し合って話を進めるが、メールでは言いたいことを一方的に送りつける。「子どもにはその違いが分かりにくい。メールの交換で誤解が生じたらすぐに電話するか、会って話すよう教えることです」
同会は冊子「“ネット”と上手く付き合うために」をウェブ上(http://miau.jp/20081015/MIAU1.1.pdf)で公開中。総務省などは親の啓発の無料出前講座「e-ネットキャラバン」(東京都、03・5403・1090)を主催している。まずは子どもにチェックリスト(別表)を試してもらい、どんな使い方をしているのか把握してみよう。
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■携帯メールやり過ぎ度チェック
□ひまがないのについ返信する
□遅刻しそうでも携帯を取りに帰る
□携帯の文字入力が手書きより速い
□3時間以上メールしない時はない
□急用や大事な話もメールで連絡
□メールのやりとりが終わらない
□返信が10分以内に来ないと心配
□早く返信しなければと焦る
□メールを優先し勉強に集中できず
□メール用の予備電池を買った
□メールなしでは友人関係が続かず
□メールのせいで友人をなくした
□携帯の電源を10分切っておけない
□人と話している時もメールを打つ
□家族との食事中にメールを打つ
□よく会う友人より「メル友」が多い
□お風呂でもメールする
□お風呂用の防水パックを買った
□お風呂用に防水携帯に替えた
□自転車に乗ってメールを見る
□自転車に乗ってメールを打つ
□電波の届かない所には行かない
□無意識に携帯を開いている
□携帯を持たないと落ち着かない
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<判定>
該当0個=ゼロ
1~6個=普通
7~13個=やや注意
14~19個=警告レベル
20個以上=重症レベル
(「インターネット先進ユーザーの会」の資料より作成)
毎日新聞 2009年4月5日 東京朝刊