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県予算(下)子育て教育 ネットいじめ根絶へ

原因取り除く対策を


学校と生徒名をあげ、中傷する書き込みが行われた携帯電話の掲示板

 「キモイ」「ウザイ」「おまえみたいなブスは消えてなくなれ」

 「反差別・人権研究所みえ」(津市)の松村元樹さん(28)は4年前、知人の高校生から見せられたインターネットの「学校裏サイト」に驚いた。2年ほど前からは、毎朝6時から1時間、悪質な書き込みが多い約10の掲示板をチェックしているが、同様の書き込みは後を絶たない。

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 学校裏サイトとは、学校の公式ホームページとは別に、在校生や卒業生らが学校の名前を付けて開設した非公式サイトの総称だ。携帯電話でしか閲覧できないものが多く、検索サイトでも見つかりにくい。生徒らの情報交換にとどまらず、実名をあげて個人を中傷する書き込みがされ、ネットいじめの温床になることもある。

 文部科学省の昨年1〜3月の調査では、全国で計3万8260件の裏サイトが確認された。ネットいじめ問題などに取り組む「全国webカウンセリング協議会」のリンク集には現在、約11万3400件が登録されており、県内のサイトと特定できるものが364件あるという。

 松村さんによると、県内では7年以上前から、学校裏サイトは存在し、ネットいじめの被害を受けた生徒が自主退学を余儀なくされたケースも複数ある。

 06年夏には、伊賀地域の高校1年の女子生徒が、クラスメートから個人名をあげて「気持ち悪い」などの悪口や、根も葉もないデマを書き込まれ、そのうわさが同学年の生徒に広がり、「書かれるのがつらい」と友人に話して学校を辞めた。学校と親には「自分がしたい勉強ができないから違う学校へ行く」と別の理由を告げていたという。

 松村さんは「学校生活を送っている子どもと信頼関係を築けていない教師や保護者の責任は大きい。ネットの実態を認識しようとする努力を怠ってきた大人全体の問題だ」と指摘する。

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 県教委は新年度から、すべての公立中と県立高計234校に関するサイトを監視し、悪質な書き込みは削除を求める取り組みを始める。民間業者への委託費と、学校や市教委などとの対策会議費に計約1115万円を盛り込んだ。友人同士の情報交換サイトに、生徒になりすました書き込みが行われ、校内でトラブルになる事例もあり、全国規模の掲示板に加え、ブログやプロフ(自己紹介サイト)など、学校名が掲載されているものはすべて監視する。

 生徒指導・健康教育室の水谷明弘室長は「保護者らにネットの実態や危険性を認識してもらい、対策を家庭や地域で話し合ってほしい。学校への携帯電話の持ち込みを禁止すればいいという問題ではない」と話す。

 悪質な書き込みを削除するだけでは「いたちごっこ」になりかねない。なぜ、生徒らがそんな書き込みをしてしまうのか。心の悩みや不安の原因を取り除く教育が求められる。

 (この企画は、新良雅司、田中宏幸が担当しました)


2009年2月20日  読売新聞)
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