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「再実験」の可能性も 長射程化へ強固な意志 '09/4/6

 北朝鮮による五日の「人工衛星ロケット」発射で、米韓の軍事当局は衛星の軌道進入は確認されず失敗だったとの判断を示した。しかし北朝鮮は黄海側に大規模なミサイル発射施設を新たに建設するなど、弾道ミサイルの長射程化に強固な意志を抱いているとみられる。今回の失敗原因を究明後、再び発射実験を強行する可能性もある。

 今回の打ち上げは二〇〇六年の核実験後初めて行われた事実上の長距離弾道ミサイル発射実験だという点で、過去の試射と決定的な違いがある。北朝鮮が保有を主張する核兵器は弾道ミサイルという運搬手段があってこそ「核戦力」として軍事的な意味を持つからだ。

 韓国情報当局は今回の打ち上げ費用を三億ドル(約三百億円)前後と推定。北朝鮮が巨額の開発資金を投入してきた長距離弾道ミサイルは、通常弾頭ではなく大量破壊兵器となる核弾頭搭載を前提にしているというのが一般的な見方だ。

 北朝鮮は人工衛星を軌道に乗せることには失敗したものの、ミサイルとして使用した場合の射程は大幅に伸ばした可能性があり、日米韓は打ち上げに使われた「銀河2号」の軌跡データなどから性能分析を急ぐ。

 ただ、「核ミサイル」の完成には核爆弾の小型・軽量化と、大気圏再突入時の高熱や衝撃から弾頭を守る「再突入体」の開発が不可欠で、初の核実験から約二年半しかたっていない北朝鮮の技術水準は未知数だ。

 一般にミサイルは射程が延びるほど搭載可能な弾頭重量は小さくなる。ゲーツ米国防長官は三月末、北朝鮮は少なくとも長距離弾道ミサイル用の核弾頭は保有していないとの認識を示した。

 一方で、日本の防衛白書(〇八年版)は米国、ロシア、英国、フランス、中国の核保有五カ国が一九六〇年代までには核弾頭技術を獲得したとみられるとし、北朝鮮が「比較的短期間に核兵器の小型化・弾頭化の実現に至る可能性も排除できない」と指摘。北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ノドン」搭載用の核弾頭を製造したとの情報もある。

 北朝鮮は黄海側の東倉里トンチャンリに、今回の打ち上げに使われた舞水端里ムスダンリの約五倍の規模ともされるミサイル発射施設を新たに建設中。年内には使用可能になるとされ、専門家らは大陸間弾道ミサイル開発が目的だと指摘している。(ソウル共同=井上智太郎)




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