最終更新: 2009/04/05 22:04

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北朝鮮「ミサイル」発射をめぐる今回の事態と実際の有事の緊迫度の違いを検証しました。

北朝鮮が人工衛星を打ち上げるとして弾道ミサイル発射を通告した4日を迎えました。今回の発射をめぐっては、北朝鮮があらかじめ時間を予告し、自衛隊が「PAC-3」部隊を展開する姿がテレビに流れました。公衆の面前でことが進んだ今回の事態は、実際の有事とは緊迫度がどう違うのか緊急検証しました。

浜田靖一防衛相は3日、「部隊展開など準備はですね、順調に進んでおるところでございまして。必要な態勢は整ったと。緊張感を持って対応していきたい」と述べ、4日にも発射されるというテポドン2号への対応に自信をにじませた。
今回、北朝鮮が発射期間を予告したことで、初日の4日から逆算する形で、日本側の対応が進んだもよう。
秋田への移動途中には、PAC-3を載せたトラックが野球場に迷い込み、車体をこすりつけるアクシデントもあった。
移動からおよそ2日かかった地上の迎撃態勢。
発射予告期間や、飛行ルートがほぼ明らかな中で組まれた対応だが、軍事評論家の岡部 いさく氏は、疑問を投げかけた。
岡部氏は「確かに、テポドンだと発射まで時間がかかりますから、事前に察知できますし、今回みたいな対応でも迎撃できるわけですよね。しかし、ノドンですとか、射程を延ばしたスカッドだと、これは、攻撃命令が出てから数時間ぐらいで発射可能な態勢になるって言いわれてます。そうなってからですと、日本が対応準備を始めてるっていう時間のゆとりはないですよね」と語った。
万が一実戦となった場合、日本を狙える中距離弾道ミサイルは、こうした移動式発射装置でアメリカの軍事衛星から身を隠し、短時間のうちに燃料を注入する。
また、同時に多数の発射も可能で、1発のミサイルだけに対応するわけにはいかない。
さらに岡部氏は、「恐ろしいのは、発射前におこる不測の事態です」と、緊張が生むもう1つの実戦ケースを指摘した。
日本海上空で2003年、北朝鮮の弾道ミサイルを偵察するアメリカ軍偵察機・コブラボールが、北朝鮮の戦闘機を撮影した。
北朝鮮軍機はこの時、コブラボールに異常接近し威嚇した。
パイロットは強制着陸を試み、最後は攻撃するそぶりさえ見せたという。
実は今回も、偵察飛行をするコブラボールの後ろには、空中で周囲を警戒する管制機がつき、北朝鮮の戦闘機を警戒している。
ミサイル劇場の裏では、米朝間で、すでに水面下の戦いが始まっているという。
岡部氏は「北朝鮮空軍機にしてもアメリカ空軍機にしても、まず、それぞれ相手の偵察機や戦闘機を脅かして追い払うっていうのが行動の目的になるんですよ。そこでお互い、何かの誤解とか手違いがあると、偶発的な戦闘から本物の交戦に発展しちゃうっていう可能性も出てくるわけですよね」と語った。
予定調和的に進められた今回の迎撃態勢だが、不幸にも実戦という本当の危機が訪れた時、そこには予測しなかったいくつもの戦いが生まれる可能性もある。

(04/04 01:27)


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