首都圏に高齢者難民が発生する! 脱藩官僚 縦横無尽(34)―下 |
[脱藩官僚 縦横無尽]
2009年03月31日 08:48 更新
■ 急増する首都圏の高齢者
では、今後はどうなるかというと、特に『後期高齢者』の数が短期間のうちにどれだけ増えるかということを予測しなくてはなりません。そして、その伸びは凄まじいものがあります。
東京都のデータによると、75歳以上の後期高齢者人口は、2005年が68万人、2010年が84万人とどんどん増えていき、2025年には130万人に達します。私が住んでいる横浜市も厳しい状況で、20年間で75歳以上の方が25万人も増えるのです。普通に考えると、施設がますます足りなくなるのです(国立社会保障・人口問題研究所のデータより筆者が作成)。
■ ビジネスモデルの崩壊により施設不足に拍車がかかる
先日、ある講演の場で、墨田区の福祉行政関係の幹部にお会いしましたので、この火事についてお話を聞きました。それによると施設が全く足りないので、やむを得ずやっていると話されていました。また、同様の事をやっている区はたくさんあるはずだとも仰っていました。
この火事がきっかけで、これから状況はもっと厳しくなります。この有料老人ホームは老人福祉法に基づく届出がなされていない施設でしたので、厚生省の指示により、同様の施設に対して都道府県の現地調査が行なわれるでしょう。
その結果、施設の不備等がいくつも明るみに出て、整備にお金がかかるようになります。このような施設の運営者は、生活保護の人を受け入れて安いコストで老人ホームを運営するというビジネスモデルでやっていることが多いのですが、そうすると経営が成り立たなくなります。少なくとも今後は同じことは出来ないでしょう。
そうなると、当然ですが、今後急増するお年寄りの受け皿がますます足りなくなるのです。前々から言われていたことではありますが、自宅での1人暮らしが出来なくなった高齢者の行き場がないという問題が、いよいよ本格化するのです。
■ 福岡市の場合は?
福岡県の場合は、10万人当りの介護保険施設定員数が3,298人と全国平均よりは整備が進んでいますが、福岡市のデータは2005年度のもで、大体3,000人です。
高齢者数の伸びは、以下の図のとおりで横浜ほどではないですが、結構大変ですね。
夕張希望の杜の村上先生が仰っているように、どれだけ早く住民の皆さんに食生活も含めた健康維持に取り組んでいただけるかが鍵のようです。
木下 敏之
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□木下敏之行政経営研究所代表 □前佐賀市長(1999.3~2005.9)
□ http://www.kinoshita-toshiyuki.net/blog/index.cgi
□ info@kinoshita-toshiyuki.net (ご感想、情報など気軽にメールをください。)
■著書
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