きょうのコラム「時鐘」 2009年4月5日

 人間が頭の中で考えた通りに動くロボットの開発が始まったという。まだ、手の上げ下げ程度の基礎研究に過ぎないが、将来は家事もできると記事にある

便利だが、考えてみれば恐ろしい話だ。人間は善人ばかりではない。他人に害を加えたいと念じたらどうなるか。人間が自ら手を下さない犯罪が生まれる。念じた者の脳波でも証拠に逮捕するのか、賢いロボットに縄をかけるのか。ややこしい未来になる

SF映画の名作に「2001年宇宙の旅」がある。発達し過ぎたコンピューターが、人間の指示に逆らう話である。傑作とされるのは科学は際限なく進歩し、それも良い方向にだけ進むのではない現実をわれわれが知っているからだ

科学が独善的な人間や国家と結びついた時は怖い。独裁者の下で国民はロボットになる。ロボットに恐怖心はないから指示通り何でもする。が、いつかそのロボットが、創造者の制御できないモンスターに化ける日は来ないのか

昨日は半日がかりで「2009年宇宙の旅・ミサイル編」を見た。これはSF以上に怖いぞと、ラチもないことを考えたのだった。