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時評コラム

松浦晋也の「宇宙開発を読む」

近づく「テポドン2」打ち上げ

たとえ衛星打ち上げであったとして、日本への潜在的危険性が存在する

Q:「衛星打ち上げ」ならば、それは日本としては容認できるのか。
A:容認は出来ない。

 打ち上げの軌跡は秋田県から岩手県にかけての日本上空を通過している。これは打ち上げの途中、「この段階でエンジンが停止する、爆発するなどのトラブルが発生すると、ロケットないしロケットの破片が日本の領土に落下する」時間帯が存在することを意味する。通常、世界各国の打ち上げでは、このような打ち上げ軌跡を設定することはない。

 国際常識的には、打ち上げの途中でどんなトラブルが発生したとしても、他国の領海・領土にロケットの破片が落下するような打ち上げ軌跡を採用するべきではない。たとえ衛星打ち上げであろうと、可能性は低いものの日本領海・領土に被害が及ぶ危険性が存在する。

 しかも北朝鮮は、この事実に対して一切の説明も、信頼醸成措置もとっていない。

 もしも打ち上げが成功すれば、今回のことが前例となり、北朝鮮が日常的に日本上空を通過する打ち上げを実施するようになる可能性も考え得る。

 日本としては、北朝鮮が打ち上げを思いとどまるよう可能な限りの外交努力を行うべき局面である。

Q:落下物の危険は大きいのか。
A:さして大きくはない。

 日本へのロケットの落下は、打ち上げ後のごく短い時間、おそらく数分前後の間にトラブルが発生して打ち上げが中断した場合に限られる。そのタイミングでトラブルが発生する確率は低い。また、落下したとしても、人的物的被害が発生する場所に落下する確率もまた低い。従って、日常生活において、さほど心配する必要はない。

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