レジ袋の有料化が4日、全市に拡大したことで、名古屋市は、年間に発生するレジ袋のうち3割に当たる3億2000万枚を減らせるとの推計を明らかにした。今後はトレーやラップなど、もらってもすぐごみになる他の容器包装をどう減らしていくかが新たな課題となる。
この日、有料化が始まった東区のスーパーの店頭では、「いつもマイバッグを持ち歩いています」と話す買い物客も目立った。竹内道夫市減量推進室長は「スーパーで『レジ袋をもらうのは恥ずかしい』という風潮が生まれてきた」と実感する。
有料化は緑区で2007年10月に始まり、昨年10月から東部8区に拡大。当初6割とみていた辞退率は9割を維持し、これまで1億枚のレジ袋を削減した。
市内で発生するレジ袋は年に10億枚(05年度)。市内の100万世帯で単純に割ると、1世帯で年に1000枚、1日で3枚を使う計算だ。有料化で3割が削減できた場合、家庭で毎日1枚のレジ袋が減らせる。
市はごみ政策の重点を、ごみの資源化から、ごみそのものを出さない形へ転換。その象徴がレジ袋の有料化だった。直接のきっかけは「レジ袋にお金を払うなんて…」との心理かもしれないが、「すぐにごみになるものは受け取らない」という意識は着実に広がった。
市は有料化を始めるに当たって、年間にレジ袋を6億枚減らす目標を掲げた。現在のところ、半分の3億枚を減らすめどが立ったに過ぎず、さらなる業種の拡大が不可欠だ。
しかし、コンビニは「急に来店する消費者が多く、必ずしもマイバッグを持ってない」(サークルKサンクス)、百貨店も「贈答品を買うお客にとって、包装自体が来店目的の一つ」(松坂屋)と、長年の消費文化を変えるのは容易ではない。
市は並行して、レジ袋以外の使い捨ての容器包装でも、新たな対策を検討する。トレーやラップのほか、ファストフード店で使うプラスチックカップなどが候補に上がっており、事業者や消費者でつくる協議会で本年度中に方向性を出す。
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