【静岡】県体育協会 摩耗指摘後も修理せず 電動折り畳み式バスケットゴール2009年4月4日 静岡市駿河区の県営草薙総合運動場体育館で、会社員藤井智章さん(29)=静岡市清水区=が電動折り畳み式バスケットゴールの支柱に首を挟まれて死亡した事故で、事故が起きたゴールは昨夏に製造元の定期点検を受けた際、修理の必要性を指摘されていたにもかかわらず、県体育協会が修理していなかったことが3日、分かった。県警は未修理部分を把握しており事故との因果関係を調べている。 体育館を所有する県と管理者の県体育協会、同協会から施設の維持管理を請け負う「NTTファシリティーズ静岡支店」(静岡市葵区)が、県庁で会見して明らかにした。 県などによると、修理していなかったのは「シリンダーハンガー」と呼ばれ、支柱についている金具。台座から伸びる油圧駆動のシャフトの先端(ロッド)を接続し、押したり引いたりする油圧の力を伝達することで、支柱の曲げ伸ばしにつなげる。 製造元のスポーツ機器メーカー「セノー」(東京都品川区)が昨年8月の定期点検の際、ロッドを固定する軸を通す穴の部分について摩耗を指摘した。がたつきがロッド先端のネジの破損などを招く恐れがあり、危険度では最も高い「AA」の評価。「交換や修理をしないと機能を損なうか、危険な状態になるおそれがあり、特に早急な修理・交換が必要」とするレベルだった。 修理しなかった理由について同協会は「代金が30万円以上の場合は県と協議する決まりになっており、県に修理を要望したが予算の関係で認められなかった」と釈明した。県は「AA評価とは知らなかった」としている。 摩耗の影響についてセノーは「支柱とアームが落ちる大事故につながる。よって早急な修理が必要と報告した」と県を通じてコメントした。事故の起きたゴールは計3カ所が「AA」と評価され、シリンダーハンガーだけ修理されずに残ったという。
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