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巨額貿易黒字のわな、今こそ競争力強化を(下)

 このため、3月に輸出が61%伸びた船舶がなければ、貿易黒字の達成は不可能だったとの分析が示されるほどだ。知識経済部の李東根(イ・ドングン)貿易投資室長も「3月の貿易黒字は、船舶の輸出好調と為替効果が2月よりも本格的に反映された側面が大きい」と語った。

 3月のウォンの対ドル相場は1ドル=1453ウォンで、昨年1月に比べ43%のウォン安となった。これに対し、日本円、中国の人民元は同じ期間に5-10%切り上がった。韓国製品の価格競争力は黙って座っているだけで高まった格好だ。業界では1ドル当たり100ウォンのウォン安で、サムスン電子の年間営業利益が2兆ウォン(約1450億円)以上増加すると指摘されている。

 問題はこうした異常な貿易黒字構造が拡大する中、根本的な競争力強化に向けた努力を怠り、為替に依存し「タダ乗り」し続けることで必然的に生じる「ブーメラン効果」だ。既に資本財の輸入減で韓国の設備投資は冷え込む兆しを見せている。対照的に周辺のライバル国は「ポスト不況時代」を狙い、必死に動いている。

 日本では政府が円安誘導、企業が人員削減や工場閉鎖などによる経営効率化を進めている。中国は今年に入り、10大産業振興政策を続々と打ち立て、業種別に技術力の向上、産業構造の高度化を急いでいる。中国が技術、品質の向上に成功し、日本が円安で価格競争力を付ければ、韓国製品が両国の板挟みとなる「新サンドイッチ現象」に追い込まれる可能性も否定できない。

 短期的に輸出を活性化するためには、アフリカ、中南米など新興市場での攻撃的な市場開拓努力、政府レベルでのマーケティング、地域別通商協力支援、中小企業・総合商社などに対する輸出金融拡大などが必要となる。

 しかし、今回の危機をチャンスに変えるためには、韓国の産業の実力を真に向上させることが唯一の方法だ。11年前の通貨危機では、果敢で集中した研究開発(R&D)や設備投資により、船舶の受注量、引き渡し量、受注残高が6年連続で世界1位を記録した。今何が求められるかは、当時韓国産業界の「希望」だった造船産業の姿が雄弁に物語っている。

宋義達(ソン・ウィダル)産業部次長待遇

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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